グーグル・クラウド・ジャパンは4月6日、2022年の事業戦略説明会を開催した。平手智行日本代表はデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業で同社のクラウドサービスの利用が増加していることから「今年もお客様のDXの加速を引き続き全力で支援する」と力を込めた。重点施策の一つとして「パートナー企業との協力拡大」を挙げ、各パートナーへの支援を強化する方針を示した。
(岩田晃久)
平手智行 日本代表
説明会冒頭で平手代表が企業のクラウド利用について解説。現在は、既存システムをクラウドに移行する「インフラストラクチャクラウド」が主流だが、「今後は、セキュリティを担保しながらデータドリブンなイノベーションで業務の正確性、利用者の利便性、顧客体験の高度化を可能とするクラウドが必要となる。これを当社では『トランスフォーメーションクラウド』と呼んでいる」と語った。
具体的には、データの可視化やAIによる高度な分析と予測を行う「データクラウド」、あらゆるアプリケーションをマルチクラウドなど環境問わず実行できるようにする「オープンクラウド」、サプライチェーン全体の生産性向上などを図る「コラボレーションクラウド」、セキュリティを担保する「トラストクラウド」の四つの領域で構成するという。これらの領域に対して、引き続き製品拡充をはじめとした積極的な投資を行い、ユーザーのDX推進を支援していく考えだ。
パートナー戦略については、パートナー事業本部の石積尚幸・上級執行役員が説明した。21年は基幹システムのクラウド化が本格化したとし、特に大きなトピックとして21年5月に開業したみんなの銀行に「Google Cloud Platform(GCP)」が採用されたことを紹介。「パートナーへの影響が大きい出来事だった。その後、勘定系などミッションクリティカルな領域でGCPの活用を目指すパートナーも出てきた。今年は(ミッションクリティカルな領域での)採用が増えると考えている」と述べた。
また、「Amazon Web Services(AWS)」と「Microsoft Azure(Azure)」を利用しているユーザーがクラウドサービスを新たに追加する際に、GCPを選択するケースが増加し、GCPの認定資格を取得するパートナーが拡大したという。
石積尚幸 上級執行役員
今期は、よりパートナー支援を強化する。SIパートナーでは、教育、PoCといった支援強化やエンジニアリングリソースの提供などにより「新しいことにチャレンジするハードルを下げる」(石積上級執行役員)とした。製造など業界に特化したパッケージ型のソリューションの展開も予定している。
ISVパートナーに対しては、Marketplaceへの登録を促進していく。石積上級執行役員は「グローバルでは500社以上、2000種類以上のサービスがMarketplaceに登録されているが、国内は10社程度だ。今年の注力分野として、国内のISVの登録を増やす仕組み作りを進める」と述べた。
リセールパートナー向けには、「魅力的なインセンティブプログラムを継続して考えていく」(石積上級執行役員)として、インセンティブの充実を図る。今年から、従来はエンドユーザーのみが対象となっていたMarketplaceの利用をリセールパートナーにも拡大した。リセールパートナーは売買契約を結んでいない製品でも、Marketplaceを経由して販売できるようになる。石積上級執行役員は「ユーザーに新たな商材を提供する場として活用してもらいたい」と狙いを語った。「そのほかにもパートナープログラムの拡充や(パートナー向けの)ツールを準備するなどして、パートナーファーストでお客様に価値を届けていきたい」と抱負を述べた。