OCR自動化などの事業を展開する富士フイルムRIPCORDは、会社設立から2年で10案件余りの受注を獲得したことを明らかにした。同社は米RIPCORDと富士フイルムビジネスイノベーションの合弁で2020年9月に設立。ロボット技術を駆使して紙文書を自動でデジタル化するサービスを手掛けており、大量の紙文書を従来の人の手が介在するOCRサービスより「4倍ほど速くデジタル化できる」(山口幸一CEO)のが売り。ロボットによる自動化によって、夜間も自動運転すればさらに納期を短縮できる。
山口幸一 CEO
直近では政府系金融機関の国際協力銀行が持つ大量の紙文書をデジタル化して、検索や閲覧、管理をオンラインで行えるようにした。これまでは紙の保管先まで出向く必要があったが、デジタル化で遠隔地から閲覧できたり、部門ごとに個別に管理していた文書の社内横断的な共有も容易になった。
OCRロボットが並ぶセンター
米RIPCORDのロボットOCR技術は、「ここ20年大きな変化がなかったOCR業務にイノベーションを起こした」(山口CEO)と高く評価。富士フイルムRIPCORDは日本をはじめとするアジア太平洋地域の営業権を獲得している。すでにシンガポールや香港などの国や地域の顧客からの引き合いがあり、国内ではリモートワークの浸透や電子帳簿保存法の整備が後押しするかたちで大口顧客も増える見込み。今は国内の二つのセンターで運用しているが、大口顧客の要望に応じて客先にOCRロボットを設置することも可能。向こう1年で累計の受注社数が倍増する勢いで推移している。
(安藤章司)