米IBMのグローバル・マーケッツ担当であるロブ・トーマス・シニア・バイスプレジデント(SVP)はこのほど、国内報道機関の取材に応じ、「日本がイノベーションで世界をリードし続けるためのお手伝いがしたい」と述べ、AIやハイブリッドクラウドなどを活用したITシステムのモダナイゼーション支援に注力する姿勢を改めて鮮明にした。パートナーエコシステムの拡充にも意欲を見せ「日本で新たなリセールパートナー、ディストリビューションパートナーを確立することが、最大の望みであり目標だ」と語った。
米IBMのロブ・トーマス・シニア・バイスプレジデント
トーマスSVPは、調査会社のレポートなどを引き合いに、企業が有するデータの90%が未活用であることや、自動化が大半の企業の業績向上につながると認識していることに触れ、AIの活用が価値を生み出すカギになると強調。加えて、IBMの顧客の多くがマルチクラウドやハイブリッドクラウドの戦略を策定する予定であると説明したほか、AI、ハイブリッドクラウド双方の需要は今後10年以上は続くとの見込みも示し、IBMはこれらの領域にフォーカスして戦略を進めているとした。
日本市場に関しては「日本の顧客はIBMの戦略上、非常に重要であり、イノベーションの実現に尽力している」とした上で、日本企業における業務のモダナイゼーションの余地は大きいとし、日本経済の変革や生産性向上に貢献したいと意気込んだ。
IBMは昨年9月、インフラ領域の構築・運用を手掛ける部門をKyndryl(キンドリル)として分社化している。トーマスSVPは、現在のIBMを「新しいIBM」と表現し、その事業の中心は「テクノロジー」と「コンサルティング」にあるとした。どちらを推進するにしても、多様なパートナーの知見が欠かせないことから、グローバルでエコシステムの強化に投資を続けているという。
日本においても多くの企業とパートナーシップを構築しており、日本のパートナーに向けたメッセージとして「新しいIBMを試してほしい」と呼びかけ、AIやハイブリッドクラウドにとどまらず、興味のある領域への参画を求めた。パートナーサクセス支援も積極的に行っているほか、共創の態勢も整えているとし「(パートナーは)新しいアイデアを見つけることができるだろう」と訴えた。
全世界で展開している新たなマーケティングキャンペーンのタグライン「Let’s create」も紹介された。イノベーションのあり方が大きく変わり、共創がより重要となっている中で、顧客やパートナーとともに新しいソリューションをつくりあげていく姿勢を表したフレーズであり、トーマスSVPは「日本のすべての企業、すべてのエコシステムパートナーと一緒に、新たなイノベーションを創造したい」と抱負を述べた。(藤岡 堯)