グーグル・クラウド・ジャパンは、無償の開発支援ワークショップ「Tech Acceleration Program(TAP)」を軸に企業の内製化支援を強化している。TAPを利用することで、ユーザーは迅速で効率的なアプリケーションの開発が可能となるという。9月27日の記者説明会で、同社の菅野信・執行役員ソリューションズ&テクノロジー担当は「デジタル化により、内製化への企業の関心が高まっている。今後、国内企業の内製化は加速していく」と述べ、内製化を目指す企業に向けてTAPの特徴を訴求する方針を示した。
(岩田晃久)
安原稔貴 技術部長
TAPは、アジャイル型のワークショップで、同社が提供するサーバーレス製品やコンテナ製品など、実際の開発で活用される製品を用いて利用可能。ユーザーと同社のエンジニアが一緒に作業できるのが特徴だ。内製化を進める中で生まれる「成功体験の不足」「人的リソースの不足」「最適なサービスが選定できない」といった課題が改善できるという。
メニューは、開発予定アプリケーションのプロトタイプ開発向けの「ソフトウェアプロトタイピングサポート」とアーキテクチャ設計向けの「アーキテクチャ設計サポート」の二つがある。
ソフトウェアプロトタイピングサポートの場合、開発予定アプリケーションの内容やユーザーの開発環境を確認した後、使用する製品の説明やハンズオンを含めたトレーニングを実施。その後、サービスやシステムアーキテクチャのデザインを作成するなどしてプロトタイプの開発に着手できる状態にする。プロトタイプを開発する際は、同社のエンジニアからの支援を受けながら、ユーザーが開発、デプロイする流れになる。明らかになった課題に対しては、同社が改善策を提示する。
同社の安原稔貴・技術部長は「グーグルは多くのサービスを開発し、運営をしながら改良を重ねている。(TAPでは)そのエッセンスを伝えられる」と説明。9月27日に、六本木オフィス(東京)にTAP専用エリアを開設したことを明らかにし、利便性を高めて利用を促進していく考えを示した。
安原技術部長は「最初からお客様のエンジニアリングチームですべて内製化を進めるのは難しい」とし、内製化においてはパートナーの存在が重要になると説明。クラウドエースやアイレット、伊藤忠テクノソリューションズといった同社のパートナーも内製化支援サービスを提供していると紹介し「お客様とパートナー、当社が三人四脚となって内製化の支援に取り組んでいきたい」と力を込めた。
記者会見では、ホームセンター事業を手掛けるカインズによるTAPの活用事例を紹介。同社は、2020年にデジタル戦略本部を設置するなどしてDXを推進し、内製化にも取り組んできた。一方で、プロジェクト数の多さや機能・データの重複などが課題となっており、その解決に向けTAPを利用。21年12月に需要予測システムにおいてTAPでアプリケーションのプロトタイプを作成、本稼働させている。