クラウドストレージを提供するWasabi Technologies Japanは今年8月、パルスセキュアジャパンやソーラーウインズ・ジャパンで社長を務めた脇本亜紀氏が新たなカントリーマネージャーに就任したと発表した。脇本氏はこのたび週刊BCNの取材に応じ、パートナー企業との連携強化を行い、拡販やさらなる認知度向上につなげる方針を示した。
脇本亜紀
カントリーマネージャー
同社はオブジェクトストレージをクラウドサービスとして提供している。Amazon S3との互換性がありながら、低コストで導入することができる点をアピールしており、容量あたりの料金が安いことに加え、データ転送量が無料であるところも特徴の一つとしている。大容量のストレージを安価に利用できることから、バックアップやコンテンツ配信などの目的で導入が進んでいるほか、最近では監視カメラの録画映像の保管といった、特定用途のソリューション構築にも用いられているという。
近年はバックアップ製品との連携を積極的に進めており、代表的なバックアップソフトウェアベンダーとの間で検証を行い、Wasabiのクラウドストレージをバックアップ先として容易に使える環境を整えている。また、オンプレミスのストレージ機器と組み合わせて、頻繁にアクセスするデータはオンプレミスに、一定期間アクセスされていないデータはWasabiに配置する「ティアリング(階層化)」の提案も強化している。同社では、ストレージ機器の販売を手がけるチャネルパートナーのアップセル施策としても有効だとしている。
脇本カントリーマネージャーは、「国内ではローカル5Gなどの新たな技術への期待が高まっており、製造業では生産ラインのIoT化が進んでいる。大量のデータが新たに生成されることから、低コストかつスピーディーに容量を拡張できるクラウド型のオブジェクトストレージ市場の需要が今後高まっていく」との見方を述べ、日本企業のニーズを満たすソリューションの開発に注力していく考えを示した。
また、同社の認知度向上も課題としており、パートナーとともにマーケティング活動を強化して市場への浸透を図る方針。他のクラウド事業者のストレージに比べ価格は安いがパフォーマンスについてはひけを取らないとしており、クラウド技術を扱うエンジニアのみならず、企業の意思決定層に対してもアプローチをしていきたい、と今後の展望を述べた。(大向琴音)