NECの子会社で新事業の創出を進めるNEC Xは1月19日、ドローンを使った捜索・救助支援ソリューションを提供するスタートアップの米Flyhound（フライハウンド）の設立を発表した。新事業創出プログラムによる新会社設立は今回で9件目。2025年までにさらに10件の新事業創出を目標に掲げた。

　NEC XはNECの先端技術を核として、シリコンバレーのエコシステムを活用した事業化を推進する。具体的には、ビジネスとテクノロジーに精通した客員起業家に技術や研究者を紹介し、客員起業家が各々のビジネスアイデアを提案するプログラムを展開している。これまでに5000人以上の起業家候補からのアイデアのうち40件をプロジェクト化し、9件の事業化につなげた。


　フライハウンドは、NEC欧州研究所が開発した技術「SARDO」を使用した、行方不明者捜索のためのソリューションを提供する。ドローンによって、行方不明者の携帯端末の無線信号から位置を割り出し、デジタル地図上でリアルタイムに表示することで捜索時間の短縮を目指す。これにより、行方不明者の位置を30分以内に半径50メートルの精度で特定することができるという。フライハウンドは今後、NEC Xのプログラムから離れ、資金調達や事業成長に向けた活動を本格化していく方針だ。

　NEC Xの井原成人・President＆CEOは、「本年度中にもう1件の事業化を見込んでおり、18年のNEC X設立から5年で10件の事業化が視野に入ってきた。プログラムを刷新し、新たなモデルで新事業開発のギアを上げていく。25年までに累計20件の事業化を目指す」との意気込みを示した。
（大向琴音）