データ・エントリーなどのBPO事業を手がけるアグレックスは、業種共通で使える次世代型BPOプラットフォームの普及促進に力を入れている。保険会社や銀行、自治体など紙の書類を多く扱う業種を主なターゲットに提供。コストや品質の平準化といった面で、従来の個社ごとのBPOサービスよりメリットが大きい点を訴求している。
同社は、封筒から書類を取り出してスキャナで読み取る作業の効率化や、複数メーカーのAI-OCRエンジンを組み合わせた高精度な文字起こし、AIと人間の目による最終的な突き合わせなどができる体制を約2年かけて構築。本年度(2024年3月期)から本格的に次世代型プラットフォームの稼働を始めた。
山崎忍執行役員(左)と佐久間巌執行役員
また、入力したデータと該当する顧客の銀行口座の番号とのひも付け、本人確認書類との照らし合わせといったデータとデータの突き合わせを高効率で行うシステム開発にも取り組む。さらに、共通プラットフォームを利用するユーザーは「自社のデータ項目当たりの時間やコストを他社と比較しながら、プロセス分析の手法を用いた継続的な改善を行える」(佐久間巌・執行役員コーポレート本部副本部長)ようにする。
こうした取り組みによって、ユーザーはコストを削減でき、同社は既存のBPOサービスに比べて5ポイントほど粗利改善を見込んでいる。
山崎忍・執行役員ビジネスプロセスインテグレーション事業本部長は「多くのユーザー企業にとって、データ入力は“非競争領域”であり、競合関係にある同業他社と歩調を合わせてアウトソーシングに出せる」と、業種共通のプラットフォームの意義を話す。マイナンバーカードの誤入力や誤情報のひも付け問題が表面化してからは、官公庁や自治体からの問い合わせが増えているという。
(安藤章司)