プロセスマイニングツールを提供する独Celonis(セロニス)日本法人が順調にビジネスを伸ばしている。間接販売を重視しており、顧客がより効率化を実現できるよう、パートナーが導入支援をする際には直販の技術部隊がサポートに入るほか、人材育成にも注力している。プロセスマイニングによる業務可視化の領域を広げ日本での事例を増やすため、日本特有のソフトウェアからもデータを取り込めるよう、パートナーとコネクターの開発を推進。また、パートナーの大手SIerが進めるオファリング型ビジネスにプロセスマイニングを組み込むかたちでより多くの企業への導入を目指す。
(堀 茜)
村瀬将思 社長
同社はデータ活用により業務フローを可視化し効率化を実現するプロセスマイニングツールを提供する。2022、23年の2年間で新規顧客数は2.7倍、ARR(年間経常収益)は2.4倍となるなど、日本での成長率はグローバルでも高い水準となっている。村瀬将思社長は「当社製品に対する需要が大きく、当面は各業種のトップ企業に向けて販売を進めていく」と説明。製造業、保険業、流通・小売業などにフォーカスする方針だ。
23年はNECや富士通と戦略的パートナーシップを締結した。「パートナーの数という意味ではある程度整った。これから協業を深めていく」(村瀬社長)とパートナー販売により力を入れる姿勢を示す。プロセスマイニングは、ただツールを販売するだけではなく、導入後に使いこなせるかが重要であり、導入支援の人材育成がかぎとなる。そこで、パートナーと一緒に直販のエンジニアがプロジェクトに入り、顧客の導入効果を高めるとともに、パートナー側のスキルアップにもつなげている。村瀬社長は「パートナーの技術力向上がアップセルにつながる」と狙いを語る。また、プロセスマイニングを企業の一部の部門だけで使うのではなく、全社横断的な利用を提案している。複数のプロセスを可視化することで、業務同士の関連性が明らかになり、改善点が判明するとして、部門をまたいでのデータ連携も進める。
村瀬社長は「データを使って業務を可視化できる領域は無限にあり、事例を増やしていくことが成長につながる」とみる。グローバルでは、買掛金や売掛金の管理、購買、受注管理といった場面で活用されるケースが多い一方、日本では、顧客対応や保守部門での効率化の事例が多く、「日本に適した事例をより生み出していきたい」。そのため、日本特有のソフトウェアからデータをプロセスマイニングツールに連携できるコネクターの開発をパートナーとともに進めている。
大手Slerとは、各社の特色を生かしてビジネスを展開したいとする。村瀬社長は「各社が進めるオファリングの中に当社製品が組み込まれ、標準的なプラットフォームの中で活用されていくだろう」と展望。パートナーを通じてより多くの企業にプロセスマイニングが浸透していくという戦略を描いている。
製品への理解を深めてもらうため、企業の経営層を招いてのラウンドテーブルや、パートナーの技術者同士が交流する機会も拡大する。村瀬社長は「業務全体を変革し、日本を盛り上げていくためにより一層プロセスマイニングを広げていきたい」と意気込んでいる。