フォーティネットジャパンは4月10日、OT(オペレーショナルテクノロジー)セキュリティーについて記者説明会を開催し、関連法の改正や同社の取り組みを解説した。法改正により企業には、これまで以上にOT環境のセキュリティー対策強化が求められるようになることから、サービスやソリューション提供を通じた支援を加速させる。OTビジネス開発部の佐々木弘志・部長は「サイバーとフィジカルがつながるようになったことでリスクが多様化している。OTセキュリティーを強化するには、ITとOTの双方のセキュリティーを理解するのが重要だ」と強調した。
佐々木弘志 部長
OTセキュリティー関連法に関しては、2023年12月に施行された「高圧ガス保安法等の一部を改正する法律」について言及。高圧ガス保安法、ガス事業法、電気事業法の認定事業者でサイバーセキュリティーに関するインシデントが発生した際に、経済産業省が情報処理推進機構(IPA)に原因究明の調査を要請できるようになった。これにより事業者は、セキュリティー管理体制、再発防止策などをまとめた「インシデント調査報告書」をIPAに提出することが必須となるため、同法に対応できる環境を構築する必要があるという。また、「認定高度保安実施事業者制度」において、認定基準に「サイバーセキュリティーの確保」が新設されたことで、各種ガイドラインを参考にした対策の実施が求められるとした。
同社は、OTセキュリティー強化を図る企業に対して、経済産業省の「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」を基に、Webサイト上で「組織」「運用」「技術」「工場システムサプライチェーン管理」の四つの項目でOT環境のセキュリティー診断を行う「OTセキュリティ簡易診断」を提供。3月19日時点で、358件の診断を実施した。診断結果からソリューションの導入などで対策の強化を図る企業も増加しているという。
昨年度からOTパートナーの拡充も進めており、現在、27社となった。複数のパートナーがOTセキュリティ簡易診断を行うなど、パートナー経由での実績も出てきているとした。(岩田晃久)