ウイングアーク1stなど4者は4月13日、「物流の2024年問題」の解決に向けて支援体制を構築したと発表した。同社が提供する中小企業支援プラットフォーム「BanSo(バンソウ)」を軸に、それぞれのノウハウやネットワークを生かして運輸事業者のDXを後押しする。
BanSoは、同社のデータ分析基盤「Dr.Sum」とBIダッシュボード「MotionBoard」、バーチャルアシスタント「dejiren(デジレン)」を組み合わせた構成になっており、利用企業のデータの取り込みや可視化が可能。月額利用型のクラウドサービスで、価格は初期費用が10万円、月額利用料が3万円からとなっている。
ウイングアーク1st 田中 潤 社長執行役員CEO
同日の発表会で、ウイングアーク1stの田中潤・社長執行役員CEOは、BanSoについて「データをためて可視化し、さらにコミュニケーションを取って、名前の通り実際に事業成長に伴走するものになっている」と説明し、「データの入力が得意ではないような事業者でも簡単に使える。ツールを頑張って覚えるのではなく、自然に使って会社の経営や事業成長に生かしていただきたい」と話した。
ほかの3者は、商工組合中央金庫(商工中金)と運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)、サスティナビリティ・DX推進協議会(SDXC)。約1万社の物流関連企業と取引がある商工中金の顧客基盤を活用し、運輸業界に特化した事業計画の策定のほか、補助金の活用などを支援する。
商工中金の山田真也・常務執行役員は「労働時間、賃金、人手不足といった問題が運輸業界の経営を非常に厳しくしている」と指摘。2024年問題に対応している事業者は少数だとし、4者連携で持続可能な物流業界の実現を目指す考えを示した。
物流業界では、ドライバーの高齢化やなり手不足、長時間労働が慢性的な課題となっている。それに加え、働き方改革関連法によって、24年4月から時間外労働の上限規制が適用され、配送できる貨物量の減少や運賃の高騰などの混乱が生じることが問題視されている。
(齋藤秀平)