アリババクラウド・ジャパンサービスは3月5日、記者説明会を開き、AIに関するパートナープログラムの開始を発表した。国内企業と協業して同社が提供する大規模言語モデル(LLM)の「Qwen(クエン)」を活用した生成AIアプリケーションの開発を推進する。Qwenと動画生成モデル「Wan(ワン)」の最新版を国内市場に提供することも明らかにした。
与謝野正宇
カントリーマネジャー
新しいパートナープログラムは、コンサルティング会社やSIer、ソフトウェア開発会社、AIに強みを持つスタートアップと連携し、同社のQwenを活用したソリューションを開発するもので、国内初の試み。与謝野正宇・カントリーマネジャーは「当社とエンドユーザーとの間を埋めてもらうために国内に根ざしたパートナーと連携する。顧客が抱える課題や要望を聞き取り、解決策を形にする役割を担ってもらいたい」と述べた。AIソリューションを東京リージョンにデプロイし、データを海外に出さないようにする仕組みを有している点などを訴求する考えだ。
最新版となる「Qwen2.5シリーズ」の提供も発表した。5億パラメータから720億パラメータまで7種類のモデルサイズを用意するオープンソース版と、専門的な知識の解答精度を上げるMoEアーキテクチャーを採用したクローズドモデル版を用意する。テキストや画像から動画を生成する「Wan2.1シリーズ」も国内市場に展開する。Qwenシリーズでは2028年までに1000の活用事例の創出を目指す。
販売戦略についても説明。中国市場などで同社のクラウドや生成AIサービスを活用した国内企業が、そこで得た成功体験を逆輸入するかたちで国内市場でも利用するケースを想定するとした。
(大畑直悠)