富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)は、富士フイルムのAI技術ブランド「REiLI」を組み込んだ製品を10月以降に順次販売する。富士フイルムが強みとする医用画像の分析AIで培った技術と、富士フイルムBIの自然言語処理の強みを融合させ、「企業内に眠る非構造化データを活用できるAI開発」(鍋田敏之・取締役常務執行役員CTO)を目指すとともに、中堅・中小企業ユーザーでも使いやすい製品に仕上げる予定だ。
鍋田敏之 CTO
REiLIの活用は富士フイルムBI社内の営業提案シナリオの作成業務で先行的に実践しており、成果を挙げているという。具体的には、取引履歴や複合機の使用ログ、過去の事例などの非構造化データに加えて、ユーザー企業が開示しているISOなど各種の認証資格、ユーザーが属する業界動向などを踏まえて提案シナリオをAIが自動作成する。
例えば▽ペーパーレス化があまり進んでいない▽ISOは環境マネジメントシステムを取得しており環境意識は高い▽業界動向として設計図や検査報告書の電子化が進んでいる―の3点を根拠に「当社文書管理『DocuWorks』を活用した業務改革を提案してはどうか」(同)などとAIが提案。過去に別の支社で成功事例があれば、そちらも参照して完成度の高い提案支援を行うといった具合だ。
社内実践では社内外の非構造化データを含む82種類のデータをAIエージェントが収集・分析しており、ここで得た知見を基にDocuWorksやデジタルワークプレイスの「FUJIFILM IWpro」など自社製品と連携可能なAI製品の開発を進める。商業印刷向けのワークフローや質感表現にもREiLIを応用していくとともに、アジア太平洋地域など海外展開も視野に入れる。
(安藤章司)