日本IBMは6月26日、データ基盤「watsonx.data」の機能拡張について報道向けに説明した。データをAIによる分析に適したかたちに処理・統合、整備する新機能を搭載し、「AIのためのデータ基盤」を実現するとした。
データを読み込んで生成AIやAIエージェントを稼働するには、請求書や発注書といった関連文書の関係性や図表の理解、個人情報の取り扱いなどが課題だった。AIの回答精度を高めるにはこうした情報の正確な把握が不可欠で、AIエージェントによる部品調達を想定した社内実証では従来のRAG(検索拡張生成)使用時、仕入先について誤って回答したという。これに対し、新機能の「watsonx.data Integration」と「watsonx.data Intelligence」では非構造化データを含むデータ統合機能を強化。新機能搭載時のAIの回答精度はRAG技術より40%向上したとする。
「Integration」は同一データの重複排除などの処理、「Intelligence」はデータの意味付け(セマンティックレイヤー)を担う。個人情報のマスキングなどガバナンス強化も図る。AIエージェントの「watsonx BI」と組み合わせてスイート製品「watsonx.data Premium」として提供するほか、それぞれ単独導入にも対応する。
四元菜つみ 部長
watsonx.dataについては、データレイクとデータウェアハウスの特性を統合し、AI駆動に対応した「次世代データレイクハウスソリューション」と定義している。テクノロジー事業本部データ・プラットフォーム事業部の四元菜つみ・製品統括営業部長は、回答精度向上と簡易性を提供し、AIエージェントによるビジネス変革を本格支援するとした。
(春菜孝明)