アイ・オー・データ機器は、カートリッジ式リムーバブルHDDアダプター「HD1-REUT」を8月上旬に発売する。専用のHDDカートリッジ(別売)を挿入すれば外付けHDDとして利用できる。カートリッジを日単位や週単位で交換することで、ローテーションによるバックアップ運用が可能となる。取り外したHDDはオフラインで保管できるため、ランサムウェア対策や災害時のデータ保護にも役立つ。
HD1-REUT
主なターゲットは医療機関、映像、建設、文教など、小規模であっても大容量のデータを安全に保有する必要がある業種。民間企業や医療機関でランサムウェア被害が深刻化する中、サイバーセキュリティー対策として「3-2-1バックアップ」ルールに基づくエアギャップ(常時オフライン)を実現するシステムへの需要が高まっている。また、クラウドストレージサービスでバックアップ環境を構築していたユーザーが、ランニングコストの高さからオンプレミスへ移行する動きも見られるという。
同社によると、リムーバブルストレージは曜日ごとなどの周期でカートリッジを入れ替えるだけで世代管理ができるため、中小企業などで根強い需要があるが、海外の大手メーカーが供給していたカセット型HDD/SSDで生産体制の混乱が発生したことを受け、代替となる製品を探す動きが広がっているという。
こうした状況を受け、アイ・オー・データ機器は2016年に発売したカートリッジ型外付けHDDの技術を活用し、HD1-REUTを開発した。
HD1-REUTとNASをセットにしたスターターパックも用意する。23年5月に厚生労働省が策定した「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版」の技術的安全管理にも対応する。バックアップソリューションとの連携は非対応で、既存リムーバブルストレージの代替として利用する場合は保存先の再設定など追加の対応が必要となる。
(南雲亮平)