米OpenAI(オープンエーアイ)のブラッド・ライトキャップCOOは9月9日、都内で週刊BCNの取材に応じ、「長期的なパートナーシップを日本のエンタープライズと築いていきたい」と語った。連携企業数の拡大も示唆した。法人向け事業の規模は米国に次ぐ2番目で、同社の国内拠点や顧客への投資を継続していると解説。日本語対応を進めてAIモデルの改善に取り組んでいるとした。
(春菜孝明)
同社は法人向けに生成AIサービス「ChatGPT Enterprise」を提供している。グローバルのアカウント数は約500万件。国内ではNTTデータが4月、グローバルで戦略的に提携し、国内初の販売代理店になったと発表している。
米OpenAIのブラッド・ライトキャップCOO(右)と
LegalOn Technologiesの角田望CEO
ライトキャップCOOは国内動向について、消費者向けビジネスが1年で4倍に成長したと説明。エンタープライズ領域でも「かなり強い需要がある。AIの進化が日本の市場にマッチしている」と強調した。市場進出においては小売、製造業といった業界ごとの専門性を踏まえたかたちで、同社と関係性が深い企業によって展開されているという。人とAIの協業が進むと「人間の仕事は、想像力が必要なものが中心になる」と見通した。
オープンエーアイは同日、国内企業の幹部を招いて最新情報を説明する「OpenAI Exec Summit Tokyo」を都内で開き、エンタープライズ向け機能や活用事例を紹介した。ライトキャップCOOは開催の狙いを「多くの企業はAIの導入方法を学ぶ段階。何ができるのかを伝え、インスピレーションを与える」と述べた。
LegalOn Technologies
法務以外もエージェント開発
ライトキャップCOOへの取材の場には、同社と戦略的連携を結んだLegalOn Technologiesの角田望CEOが同席し、生成AI実装の現状に関してライトキャップCOOと対談した。
角田CEOは、AIが単純な作業を代行して人は価値ある仕事に集中できるとして、ChatGPTを全社導入していると明かした。その上で、顧客へのサービス提供にAIを活用し、法務だけでなく営業や管理、経営層などの業務特化のエージェントを開発していると説明。中小企業を中心とする顧客に対して「日本の業務フローに沿ったサービスをオープンエーアイのテクノロジーと連携してつくっていきたい」と意気込んだ。ライトキャップCOOは両社の連携を「フロンティア」(新たな領域)と表現した上で「まだ始まったばかり。どのような仕事ができるのか、何が一緒にできるのかを考えている」とした。
連携企業については、進行役のOpenAI Japan担当者が市場の成長には「多くのパートナーが必要だ」と指摘。ライトキャップCOOは▽戦略の合致▽セキュリティーなどの安全性の確保▽AIモデルの性能向上への寄与ーなどが条件になるとの認識を示した。