NECは10月29日、米Broadcom(ブロードコム)が提供するプライベートクラウド基盤「VMware Cloud Foundation(VCF)」を活用したプライベートクラウドサービス「NEC Private Cloud Infrastructure powered by VMware」の販売を開始した。顧客専用の環境でセキュリティーやデータ主権を確保しており、月額定額料金で利用できる。
新サービスは、VCFをマネージドサービスとして提供するもので、顧客がプライベートクラウド環境を構築するために必要なVCFのリソースを供給し、柔軟性の高いクラウド環境の構築を支援する。千葉県印西市にあるNECのデータセンター(DC)内に設置した顧客専用のハードウェア上に構築したVCFと、ニーズに合わせたマネージドサービスを組み合わせて専用の仮想化環境を実現する。
ユースケースとして、機密性が高くパブリッククラウドを利用できないシステムなどでの利用を想定する。既存システムでVMwareを利用している場合には、これまでのノウハウを生かして新サービスに移行できる。月額定額制でプライベートクラウドを“as a Serrvice”として活用できるのが顧客のメリットとなる。ハイパースケーラーのパブリッククラウドとの接続拠点を備えたNECのDCで提供するため、ハイブリッドクラウド構成も可能だ。クラウド接続拠点とは閉域接続でセキュアな環境を提供する。
同日都内でブロードコムが開催した記者説明会には、NECの執行役の木村哲彦・Corporate EVP兼デジタルプラットフォームサービスビジネスユニット長が出席。新サービスの特長について、安全性、コスト、運用を重視しているとした上で「当社がVCFを活用する中で蓄積した運用やシステム構築のノウハウを顧客に提供していく」と狙いを説明した。セキュリティーやデータ主権への関心が高まってることを背景に、金融、流通、製造といった業界にフォーカスして拡販していく。
ヴイエムウェアの山内光・カントリーマネージャー(左)と
NECの木村哲彦・執行役
VCFを基盤としたプライベートクラウドサービスの提供は、国内ではNECが初めて手掛ける。ヴイエムウェアの山内光・カントリーマネージャーは、「NECは長年のパートナーで、SIerとしてもマネージドサービス事業者としても協業を強化してきた。(新サービスは)プライベートクラウドでモダナイゼーションを実現したい多くのお客様に訴求できる」と期待を述べた。また、国内の他のパートナーとも同様のVCFを基盤としたプライベートクラウドサービスを展開していきたいとの考えも示した。(堀 茜)