米A10 Networks(A10ネットワークス)日本法人は11月21日、年次イベントを開催し、AIファイアウォール機能の提供など、AIへの注力を打ち出した。ドゥルパド・トリベディ社長兼CEOは取材に「高精度のハードウェアとサイバーセキュリティーへの投資を継続していく」と語った。
米A10 Networks ドゥルパド・トリベディ社長兼CEO
6月に発表した「AI Firewall」は、プロンプトと応答を精査してプロンプトインジェクション攻撃や情報漏えいを防止する機能となる。推論用チップと独自チューニングの大規模言語モデル(LLM)を搭載したアプライアンス製品の「A10 Thunder」を通じて提供する。A10 Thunderは、ADC(アプリケーション配信コントローラー)とプロキシ機能も使うことができる。2026年の販売開始を予定する。
自治体などに需要があるローカルブレイクアウトのクラウドサービスにAIセキュリティーを追加。トライアルプログラムとして「Cloud Access Controller」上にAI Firewall機能を入れ、機器を導入しないかたちでも提供する。
AIファイアウォールとローカルブレイクアウトのほかに、▽APIセキュリティー▽DDoS攻撃対策―でも製品を強化する。トリベディ社長は、低遅延で多くの同時接続が可能なことが優位性につながっていると強調。AIを活用してハイブリッド環境に対応したサポートを展開すると示した。今後の拡大領域としてネットワークのトラフィックモニタリングやオブザーバビリティーを挙げた。
AIテクノロジー中心の製品の浸透に向け、パートナーと共同でPoCやテストを進めている。日本法人の川口亨社長は「パートナー企業に独自の戦略を生み出してもらったり、パートナーの提案に対して私たちがプロモーションしたり、両面のアプローチを考えている」と話した。
米A10 Networks日本法人 川口亨社長
APIセキュリティーでは米ThreatX Protect(スレットXプロテクト)を買収してポートフォリオ化した。攻撃者の行動に着目してリスクレベルを管理する仕組みで、高木真吾・ビジネス開発本部長兼エバンジェリストは「単発の攻撃ではなく、時系列的に見ていくイメージ」と解説した。
米A10 Networks日本法人 高木真吾・本部長兼エバンジェリスト
AI駆動のDDoS攻撃は一度防御しても、変化して再度攻撃してくる。この課題に対しては、防御フィルターの自動作成機能を提供する。DDoS攻撃防御のソリューションはハードウェアのほかに他社のファイアウォールやSIEM(Security Information and Event Management)などにも適用できる。(春菜孝明)