米Nutanix(ニュータニックス)は4月7~9日(米国時間)、米シカゴで同社のプライベート年次カンファレンス「.NEXT 2026」を開催し、世界中から参加した約5000人の顧客やパートナーに対して多くのアップデートを発表した。企業からの期待が高まるエージェンティックAI向けの製品強化を進めるのと並行して、VMwareパートナーを自社のエコシステムに呼び込む施策も強化する。
米イリノイ州シカゴで開催された「.NEXT 2026」。
初日にはラジブ・ラマスワミCEOがオープニングキーノートを行い、
インフラベンダーからプラットフォーマーへの転換を強調していた
従来からの「Run Anything Anywhere」に加えて、
新たなテーマとして掲げられた「One Platform. One Experience. Only Nutanix」。
仮想化基盤だけではなく、コンテナやオンプレミス、パブリッククラウドなどあらゆるインフラ上で
一貫したエクスペリエンスを提供することを謳っている
ニュータニックスが今回のカンファレンスで発表した主なアップデートは以下の通り。
【エージェンティックAI】
3月に米NVIDIA(エヌビディア)が開催した「NVIDIA GTC 2026」で、ニュータニックスはエージェンティックAIソリューション「Nutanix Agentic AI」を発表した。現時点ではアーリーアクセスでの提供で、26年後半に一般提供予定だが、今回の.NEXTでもこの強化を訴え、ソフトウェアディファインドストレージの「Nutanix Unified Storage 5.3」、オンプレミス環境にも対応したデータセキュリティーソリューション「Nutanix Data Lense 2.0」など、AIファクトリーを実現するためのアップデートを数多く提供
「Nuntanix Agentic AI」は、エヌビディアのGPUと密に統合された
Kubernetesベースのプラットフォーム。エージェンティックAIの導入を望む企業に対し、
AIファクトリー機能を提供する
【MongoDBサポート】
データベースサービス「NDB(Nutanix Database Service)」と米MongoDB(モンゴデービー)が提供するセルフホステッド管理プラットフォーム「MongoDB Ops Manager」を統合
NDBのラインナップにNoSQLデータベースのMongoDBが追加。
AIワークロードのパフォーマンス向上も期待される
【ベアメタルKubernetes】
Kubernetesクラスターをマルチクラウドで展開できる「Nutanix Kubernetes Platform(NKP)」の拡張機能として、ベアメタル環境でKubernetesをダイレクトに扱える「NKP Metal」をリリース。26年後半に一般提供予定
NKPの拡張機能として、ベアメタルに直接Kubernetesクラスタをデプロイできる
「NKP Metal」が登場
【NetAppサポート】
AHVハイパーバイザーを搭載した「Nuntanix Cloud Platform」上で、米NetApp(ネットアップ)のストレージソリューション「NetApp Intelligent Data Infrastructure」を統合(26年内リリース予定)
【サービスプロバイダー向けプログラム】
パートナープログラムの強化策として、VMwareのパートナー資格を失ったサービスプロバイダーをメインターゲットにした「Nutanix Service Provider Central(SP Central)」を開始、マルチテナント機能や柔軟なライセンス体系を提供
ここで挙げたアップデートは、いずれもエージェンティックAIへのニーズが高まっているトレンドを反映しており、ニュータニックスがエージェンティックAIのインフラとしても優位性を高めようとしていることがうかがえる。
特に、3月に発表したNutanix Agentic AIは、企業が大規模かつ継続的にAIエージェントを運用する“AIファクトリー”を実現する基盤として期待が高まっているが、ニュータニックスはこれをサービスプロバイダー向けに提供していくことを明言しており、今回はその一環として、GPUサーバーなどAIに特化したサービスを提供する「ネオクラウドプロバイダー」をターゲットにする方針を示している。
今回の発表により、AIワークロードに特化したクラウド事業者は、Nutanix Agentic AIを活用した「GPU as a Service」や「Kubernetes as a Service」、「Model as a Service」といった付加価値の高いAIサービスを、AIファクトリー構築の一環として顧客に提供することができるようになる。エージェンティックAI向けのアップデートはサービスプロバイダー用の管理基盤「Nutanix SP Central」を通じて提供されるため、ネオクラウドプロバイダーは同一のGPU上で複数の顧客をホストするマルチテナント環境を構築することも可能だ。
Nutanix Agentic AIをコアに、顧客が望むAIサービスを統合したAIファクトリーの提供を進めていく。
Nutanixはパートナー経由での提供を推進しており、
今回のネオクラウドプロバイダの支援強化もその一環
このほかにもニュータニックスは今回の.NEXTで、パートナーエコシステムを拡大する発表をいくつか行っている。ここ数年、ニュータニックスの製品は米Broadcom(ブロードコム)のVMware買収にともなう仮想化基盤の移行先として注目される機会が多く、“VMwareオルタナティブ”としての存在感を高めるための製品アップデートを続けてきた。
顧客との直接取引を志向するブロードコムの方針により、多くのVMwareパートナーが「VMware Cloud Service Provider」プログラムの資格を失ったことから、ニュータニックスは逆にパートナープログラムの拡充を図ってきており、今回ローンチされたNutanix SP Centralもまた、パートナー/サービスプロバイダーのVMwareからニュータニックスへの移行支援を拡大する動きだといえる。今後は顧客だけでなく、パートナーの支援にも力を入れた包括的なアップデートが続きそうだ。
.NEXT 2026の詳細レポートは今後あらためて掲載を予定する。
(五味明子)