2023年に創業した米国のスタートアップWitnessAI(ウィッ トネスエーアイ)は、日本市場への本格的な参入を進めている。4月にはNTTデータや日本総合研究所グループのJSOLとリセラー契約を結び、統合型AIセキュリティー・ガバナンスプラットフォーム「WitnessAI」の国内提供を開始した。日本企業が直面するAIリスクに対し、パートナーを通じて対策を講じることで、安心してAIを活用できる環境の構築を目指す。
リック・カッチャ CEO
リック・カッチャCEOは、「企業がAIを導入する際に考慮すべき点は三つある」と指摘する。一つは「AIガバナンス」。シャドーAIや不用意な操作による機密情報漏えいを防ぐためには、従業員が企業内で「ChatGPT」や「Gemini」など、どのサードパーティーのパブリックAIを使い、何をしているのか、またどのような情報を扱っているかを把握することが重要となる。組織内でのエージェント活用状況についても同様で、管理者の意図に反したファイルの全削除など、暴走を防ぐ制御が求められる。これが二つめにあたる。
三つめは「AIディフェンス」。企業が独自のAIモデルやAIチャットボットを構築した場合、プロンプトインジェクションやジェイルブレイク、モデル暴走などへの対策が必要だ。カッチャCEOは「従来、三つの懸念への対策は別々の企業が提供してきたが、三つを統合的に提供できることがWitnessAIの強み」と強調する。同社の25年度の成長率は500%と急速に拡大しており、大手企業が実際に活用し成果を上げていることも成長を後押ししているという。
WitnessAIの主な機能は、ネットワークレベルでトラフィックを監視し、モデルに送信されるプロンプトやモデルからの応答をチェックすることで、双方向にポリシーを適用することだ。プロンプトの追跡により、従業員が誤って機密情報をサードパーティーモデルと共有するのを防ぎ、AIの応答を監視することで、AIモデルが誤った情報や有害情報を返していないかを確認できる。
ウィットネスエーアイはグローバル戦略において日本を重要な市場と位置付けている。多くの米国スタートアップが欧州経由でアジアに進出する中、同社は米国に次ぐ市場として日本への進出を決定した。背景には32年までに日本のIT支出が1260億ドルに達するという調査結果がある。AIへの投資も極めて大きいことから、日本市場に早期参入し、セキュリティーソリューションの提供を通じてAIの利用拡大を支援できると判断した。
国内展開はパートナー戦略を軸とする。特に中小企業向けには、マネージド・サービス・プロバイダー(MSP)との連携を計画する。中小企業向けの営業・サポート・請求体制を整えているNTTデータなどのパートナーによるマネージド・サービスを通じて販売を進める方針だ。
(南雲亮平)