リコージャパンは、2030年度までの経営戦略として、ITソリューション事業を軸としたストック型ビジネスを年平均成長率6%で伸ばす。セキュリティーやシステム運用サービス、SaaS型業務アプリ、AI、会議室予約などのワークプレイス系サービスといったストック型サービスを拡充させるとともに、ユーザー1社あたり複数のストック型サービスを利用してもらう「マルチストック化を推進する」(笠井徹社長)。また、リコージャパン社内でのAI活用による生産性向上を加速させ、収益力を高める。
笠井 徹 社長
同社ではセキュリティーやシステム運用サービス、「RICOH kintone plus」をはじめとするSaaS型アプリなど、ユーザー企業に月額で課金してもらうストック型の商材を拡充しており、昨年度(2026年3月期)の契約中のサービス数は224万本に達している。マルチストック化の施策では、例えばセキュリティー関連のサービスのみ契約しているユーザー企業にオンラインストレージサービスやSaaS型アプリを追加で利用してもらい、複数のストック型サービスをアップセルしていく。こうした取り組みによって30年度には契約数を467万本に倍増させる目標を掲げる。
社内のAI活用では、営業支援や商談記録といった「顧客接点」、人事経理やワークフローの審査などの「バックオフィス」、社員がAIを使って業務アプリをつくれるようにする「AIの民主化」を重点領域に位置付けてAI実装を加速させる。
顧客接点での活用例を挙げると、ユーザー企業との商談を録音し、AIが要約して商談日報として営業支援システムに登録。社内に蓄積してある提案書や事例集などの営業資料や商品情報などのデータを加味して、AIが顧客ごとの課題抽出や提案内容のレコメンドを行う仕組みを導入している。営業担当者など顧客接点領域で働く6000人が社内利用したところ、商談現場から上がってくる情報量が18倍に増えたという。同社ではAIアプリやAIエージェントがすでに2590本稼働しており、今後もAI活用を進めることで生産性を高めていく。
社内実践によって得たノウハウを生かして、AI関連のオファリングを充実させ、ユーザー企業への販売にも取り組む。AIを含むITソリューションの実装力を高めるため、26年1月からリコージャパンとリコー、リコーITソリューションズ、PFUの4社のSE人材リソース約2000人を連携させ、SI能力を高める施策をスタート。グループ共通のオファリングも充実させることで、収益性の高いITソリューション事業を重点的に伸ばしていく。
(安藤章司)