ライフサイエンス業界向けクラウドサービスを手掛けるVeeva Japanは6月17日、事業戦略説明会を開いた。AI活用とデータ基盤整備に注力する方針を示すとともに、「Veevaインダストリークラウド」の全体像を提示した。医薬品の研究開発から品質管理、営業・マーケティング、承認後の情報提供までを単一のプラットフォームとデータベースで統合し、業務の自動化と意思決定の高度化を進める。製薬業界でデータの分断解消やAI活用への対応が求められる中での動きだ。
千葉弘崇 ゼネラルマネージャー
千葉弘崇・ゼネラルマネージャーは「製薬業界は、大きな転換点を迎えている」と指摘。医薬品の承認申請を電子的に提出する国際標準フォーマット「eCTD 4.0」への対応やAIの普及を背景に、「デジタル化とAI活用は不可欠で、DXの進展が今後の競争力を左右する」と述べた。
Veevaインダストリークラウドは、製薬業界に特化した複数の製品群とデータ基盤を統合する枠組み。単一のプラットフォームとデータベース上で、部門ごとに分散していたシステムやデータを連携させる点に特徴がある。製薬企業では従来、開発や品質、営業などの各部門で異なるシステムが使われるケースが多く、データの分断が業務効率や意思決定の遅れにつながっていた。これを一元化することで、部門横断でのデータ活用を可能にする。
AI戦略では、業務に組み込むかたちで活用を進めるとし、「モデル」「エージェント」「アプリケーション」の三つの要素からなる構成を提示した。従来は人が入力していたデータについて、AIエージェントが入力や更新を担う仕組みへの転換を進める考えを示した。さらに、医師とAIの会話を通じてデータの精度向上を図る対話型の「Conversational AI」の導入も予定している。
(山本浩資)