バックオフィス向けAI SaaS「バクラク」を展開するLayerXは、事業成長を背景にパートナービジネスの強化を図っている。金融機関や士業、IT商社など多様なパートナーとの連携を推進しているが、目指すのは単なる販売網の拡大ではない。共同での事業計画作成や、支援メニューのパッケージ化などを通じたパートナー1社1社に対する密接な伴走支援で、顧客価値の創出につなげる。(大向琴音)
多様なパートナーで顧客接点拡大へ
LayerXの主力事業である「バクラク」は、証憑の受取や申請、承認、仕訳、データ化など、バックオフィス業務をAIで効率化するサービス群で、利用企業は2万社を超える。紙や手作業が残る業務を自動化し、企業の意思決定のスピード向上を支援している。
同社は2024年に「パートナーアライアンス部」を立ち上げ、パートナービジネスを本格化させた。現在は、金融機関や、税理士・社労士などの士業、IT商社、コンサルティング会社など、500社弱のパートナーが存在する。そのうち8割ほどを士業が占めているという。
金融機関や士業は顧客接点を生かし、紹介型や、契約の前段階までを担う媒介型が中心で、IT商社は再販を担う。士業については、顧客と契約するのはLayerXとなるが、パートナー独自のビジネスとして導入後の活用支援を行うケースもある。
金融機関との連携が増加
最近特に増えているのが、地方銀行など金融機関との連携だ。執行役員でバクラク事業CBOを務める鈴木竜太・マーケティング本部長は「(バクラクは)お金のやり取りの入り口となるサービス」だとし、バクラクをきっかけに顧客に営業を行うことで、金融機関は本業である金融商品などの提案につなげられるとする。
鈴木竜太・執行役員
また、金融機関だけでは対応が難しい場合、例えばDXに強い税理士と一緒に顧客を支援するといった、パートナー同士が連携する例も少しずつ出始めている。将来的には、地方銀行などに案件をつくってもらい、クロージングをLayerXが担当、その後の部分を地域の税理士に任せるといったかたちのエコシステムの構築にも注力したいとする。
支援メニューをパッケージ化
パートナーに対する密接な伴走体制を築くことを重視する。パートナーごとに3年程度の事業計画を策定し、目標件数などを共有する。どの程度リソースを投入するかなどの判断材料にしているという。
また、契約時には事業計画だけでなく、パートナービジネスを通じてどんなことを実現したいのかといったビジョンの共有も行う。「パートナーの数を増やすというよりは、ビジョンに共感し、一緒に事業をつくれるパートナーを慎重に開拓しながら、1社1社と深く取り組む」(鈴木執行役員)とする。
勉強会の実施や同行営業などの基本的な支援のほか、パイプライン管理を行っている点も特徴的だ。パートナー任せにせず、案件状況を細かく見ていくことで、ビジネスの再現性を高める狙いがある。
また、パートナー向けに、展示会・カンファレンスの共同出展のほか、セミナー、アンケートや調査・BDR支援などのメニューをパッケージ化し提供している。例えば、オフラインセミナーのノウハウを持たないパートナーに対し、開催にあたって必要な支援をLayerXが行うといった具合だ。これらは全てLayerXのマーケティングコストとして計上されており、パートナーには費用を請求しない。
デジタルマーケティングが高度化する中、人を介した営業の重要性が増していくとみる。この状況下で大切となるのがパートナーチャネルだ。鈴木執行役員は「類似サービスが存在しており、デジタルマーケティングでは差別化を図るのが難しい。そこで、本当に信頼できるパートナーを通じて1件1件丁寧に説明してもらうことで、差分を明確に伝えることができると思っている」と力を込める。