日本IBMは7月27日、村田将輝・副社長が8月1日付で社長に就任すると発表した。社長交代は7年ぶりとなる。前任の山口明夫氏は会長となって経営を補佐する。27日の会見で村田氏は「顧客に信頼され、顧客とともに進化し続ける」と意気込んだ。
新社長の村田将輝氏(右)と会長に就いた山口明夫氏(左)
村田氏は同社で長らく金融領域をけん引してきた。AI関連のシステム構築にも従事した経歴を持ち、今後は先端テクノロジーの国内への実装を主導する。社長交代の理由について山口氏は「テクノロジーの進化がかつてないスピードで進み、社会が激変する中、経営のスピードを上げ、今まで以上に顧客の要望に応えるサービス・製品を提供していくため」と説明した。山口氏も代表権を持ち、二人三脚での経営体制とする。山口氏は「執行の総責任者は村田新社長が担う。両者の視点や経験の違いを生かしたい」と述べた。
山口氏は、日本法人の経営支援に加え、米IBM(アイビーエム)の事業開発担当エグゼクティブも兼務し、グローバルレベルのアライアンスの検討に加え、量子や半導体の実装を推進する。
今後の方針として村田氏は「AIを前提としたシステム開発や業務のあり方をしっかりと理解し、顧客とともに新しい価値を創造していきたい」と話し、AI駆動開発ソリューションの「IBM Bob」や、これと連携する「AI Lifecycle Shared Engineering Artifacts(ALSEA)」の活用を推進するとした。
量子コンピューターの社会実装にも取り組む。2030年頃には実用化が始まるとの見方を示し、ライフサイエンスや金融といった領域から普及が始まるとした。村田氏は「日本に新しい産業モデルを生み出すものだ。政府や国内企業と新しい経済圏をつくり、日本の競争力を向上させる」と力を込めた。また、パートナーとも連携しながら耐量子計算機暗号の導入も進める方針も語った。
組織面での強化も図る。村田氏は「社会の変化が速い中、顧客の近くに当社の社員を配置し、顧客の投資の方針を敏感に感じ取れるようにすることが重要。営業も技術者もより前線に出るような体制に変更している」と紹介した。
山口氏は、村田氏の人柄について、「頑固なまでに顧客の成功にコミットして実行し続ける姿勢を持っている」と評した上で、「常に顧客やマーケットのほうを向いて、日本IBMをなくてはならない存在にしてほしい」とエールを送った。
(大畑直悠)