視点
昨年の著作権侵害事件
2002/01/14 16:41
週刊BCN 2002年01月14日vol.924掲載
内訳は、海賊版販売が12件、ゲームソフトの無断上映が1件、違法アップロードが3件。このうち海賊版販売では、デジタルコンテンツ全般の保護の一環として、人気テレビアニメーションをデジタル化し、CD-Rに複製して販売した事件の摘発に協力した。マンガ喫茶におけるゲームソフトの無断上映についても同様である。
何より注目されたのが、ピア・ツー・ピアでのデータの送受信を実現する、いわゆる「ファイル交換ソフト」を悪用した、インターネットユーザー間での違法アップロード(違法送信)の摘発だった。ナップスターやグヌーテラなど、数多くのファイル交換ソフトがインターネットを通じて出回っており、ADSL加入件数が120万件を超えるなどインフラの発達にともなって、これらのソフトを悪用した著作物の違法送信は看過できない規模となっている。音楽やソフトウェア、写真、動画などデジタルコンテンツ産業は深刻な影響を受けている。
とりわけ、「WinMX」は日本語対応で操作が簡単なことから爆発的に利用者が増え、著作権者には大きな脅威となっていた。かねてからACCSは各県警にその実態や侵害状況の報告をしていたが、京都府警の要請により全面的に捜査に協力し、難しいとされるネット侵害事件の解明を行った。世界に先駆けたこの事件は、内外から高く評価されたと自負している。
これらの侵害対策としては、確信犯へは刑事手続き、ネットユーザーへは著作権思想の普及啓発、また電子すかしやプロテクトなどのコンテンツの技術的保護の開発などが考えられる。今年は、更にネット関連の侵害状況に目を光らせ、同時にACCSホームページ、ASKACCS著作権やプライバシー相談室などを通じて一層の著作権思想の普及・啓発に力を注ぐつもりである。
また、昨年成立した「プロバイダ責任法」をフル活用し、可能な限り通知、警告を行っていく。なお、ACCSでは、ファイル交換ソフトを利用した著作権侵害行為を発見し、監視に必要な情報を自動的に収集するシステムの開発を終え、今年から稼働を始める。
インターネットでの著作権侵害に悩めるコンテンツホルダーはいつでもACCSへ!
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