視点

日本語に強いパソコン

2002/02/18 16:41

 パソコンの漢字は、待ったなしで変わることを迫られる。迫るのは、文化庁の新漢字政策。これに対応するための技術的検討が、JIS規格の改訂作業として進められてきた。現在の第1第2水準の漢字では、要求に応えられない。より多くを盛り込んだ別の漢字コードで対応しようというのが結論だ。



 国の漢字政策が求め、技術的な対応策も固まった。ならばこの機会を捉えて、私はパソコン漢字の基盤を一気に拡大すれば良いと思う。これでパソコンがグンと日本語に強くなるからだ。

 産業界は、転換を大きな商機にできる。新政策は、印刷用の漢字字体を定めると謳う。DTPで使われるさまざまなフォントの入れ替えが期待できる。印刷の概念は、幅広く捉えられている。情報機器で使われる文字もまた、印刷文字に準ずるとされる。要するに、パソコンはみな、フォント、仮名漢変換モジュールを入れ替えろということになる。

 新しい政策は、「表外漢字字体表」なる国語審議会答申にまとめられている。表外の「表」は、常用漢字表を指す。ここに採用された字体簡易化の考え方を表にない漢字にも適用するのか。その方針を国は長く示さないできた。

 そこに踏み込み、表外は「正字」との指針が示された。大枠を定めた上で、字体表は1022字を選んで、正字にそった「標準字体」を掲げた。その内の22字に関しては、用いてもよい、簡易慣用字体も併置した。今後の漢字コード改訂に際しては、これが表せるようにしてほしいと、そこまで踏み込んで求めた。

 この1022字、常用漢字よりは使用頻度が低い上に、正字である。第1第2水準の漢字6355字では、表せないものが含まれていた。だが、第3第4水準3685字を含むJIS X 0213に移れば、あるいはUCSの国内規格であるJIS X 0221に移行すれば要求に応えるられる。そのために必要な若干の調整と拡充を盛り込んだJISの改訂案が、1月15日に示された。

 間もなくこの線で、0213が改訂される。2つの選択肢のうち、新旧を問わず、ほとんどすべてのパソコンで実装可能な0213が、次の基盤として浮かび上がるだろう。きっかけは表外漢字字体表への対応でも、これでより多くの文字を使えるようになる。日本語に強いパソコンを実現するために、産業界が動くべき時がきた。
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