視点

易しいセキュリティ対策

2002/03/25 16:41

 セキュリティに対する関心が急激に高まっている。それも無理はない。警察庁の調べによると、2001年の不正アクセス行為発生状況は認知された数だけでも計1253件と、前年の106件から約12倍にも膨れ上がっている。実際、被害に遭った企業のIT担当者は、風評の悪化を恐れ不正侵入の事実を社外に公表したがらないし、攻撃を受けていること自体、自覚していない企業、個人もあろうから、これはほんの氷山の一角に過ぎない。

 ADSLの低価格化で、インターネットの常時接続利用が家庭にも浸透してきた。サービスを提供する側はIP電話や動画配信など、高速・常時接続の利便性を訴えるのに懸命だ。だが半面、負の側面、つまりネット社会に潜む危険性を声高に呼びかけるケースは少ない。負の側面を強調しすぎると、ブロードバンド化の波に水をさすとの配慮が働いているのかもしれないが、むしろ逆だろう。旅行者に出掛ける先の治安状況をあらかじめ認識してもらうように、常時接続とはそれだけ攻撃を受ける可能性が高まること、常に危険に身を晒す形になることを正しく自覚してもらったほうが、甚大な事態に至らずに済む。

 昨年9月の米同時テロ以降、サイバーテロの危険性が大きくクローズアップされるようになった。インフラ系の大型コンピュータから家庭の情報端末まで、大掛かりな一斉攻撃を仕掛けられた場合、どう対処すればよいのか。テロとは性格を異にするが、かつてのY2K問題では、交通機関、電気、ガス、水道などのライフラインが混乱することを想定し、企業も家庭も対策を練った。幸いY2Kは混乱に至らなかったが、サイバーテロ対策も最悪の事態を想定し、国家から個人まで各レベルにおいて備えておく必要がある。

 もちろん、一般生活者がエンジニアのような高度な知識、技能を身につける必要はない。地震が来れば、まずガスの元栓を締め、二次災害を防ぐ。日本人なら小さい頃から親に教わったノウハウだ。わずかな知識が最悪の事態を回避してくれる。セキュリティ対策というと何かと難しく語られがちだが、攻撃を仕掛けられているパソコンを目の前にして先ず何をなすべきか。そんなハウツーを易しくユーザーに教えるのもIT業界の役目だろう。
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