視点

ビジネスインテリジェンスとDSS

2002/09/16 16:41

週刊BCN 2002年09月16日vol.957掲載

 私は昭和34年からIT業務に携わってきたが、その頃からIT利用の原点は次のABC、――Advancement of Productivity(生産性向上とコストダウン)、Better Management(経営管理の改善)、Customer Services(顧客サービスの向上)にあると考えてきた。このうちAとCについては、IT化の進展やインターネットの急速な普及などによって飛躍的な進歩を遂げたといってよいであろう。

 ところがBについてはまだまだ未開発の分野が多々あるように思われる。ハイペリオンは、経営管理のサイクルとしてR(Reporting)、A(Analysis)、M(Modeling)、P(Planning)に代表されるRAMPを提唱している。このうちReportingやAnalysisについては、業績評価のためのキーパフォーマンスインディケーターの提供や、製品別・地域別・販売チャネル別の市場分析、CRM等で多くのパッケージソフトが利用可能になった。

 IBMは、この様なビジネスインテリジェンスの機能として、データ検索,統計解析、OLAP(多次元データ分析)、データマイニング、最適化解析の5段階をあげている。OLAPやデータマイニング等は、クラスタ分析、マーケットバスケット分析、決定木、ニューラルネットワークの各種手法や、ビジネスオブジェクト、ウェブインテリジェンス、ハイペリオンESSベース、同アナライザ、SAP―BW、SASシステム、DB2インテリジェントマイナー、オラクル ビジネスインテリジェント、同OLAP等の各種パッケージの提供によって、ユーザーは格段に便利になった。

 問題は、RAMPの中のモデリングの分野である。カーネギー・メロン大学のクリーベル教授は、MISが当初の期待程開花しなかった理由は、高次元のシミュレーションができるようなユーザーのためのモデルづくりの遅れにあったと言っている。例えば、グローバルな市場金利や為替動向の予測、複雑化した企業活動のための多様なシミュレーションができる長期経営計画モデル、新種サービスや新商品発売時の効果予測モデル、新規出店候補地選定のための市場立地分析(都市別将来人口予測や同業との競合度予測モデル)、各種のポートフォリオ・セレクションモデル等がその例であろう。これからは複雑系理論やAI等を駆使した高度の意思決定支援システムの開発が一段と望まれる時代に入ったと言うことができる。
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