視点

ウィンドウズ不全の再生

2003/10/13 16:41

週刊BCN 2003年10月13日vol.1010掲載

 ふつうの勤め人には申し訳ないが、大学関係者は8、9月に一休みできる。山にこもってパソコン通信をサボっていたので、ウイルスの「ラブラン9」騒ぎや「MS Blaster(ブラスター)」騒ぎには巻き込まれなかった。今月に入って、東京の事務所と自宅でパソコン通信を再開した。事務所のほうは、さすがプロのネットワーク(UNIXサーバー)管理者が面倒を見ているので問題はない。ところが、自宅のパソコンは散々だった。フリーズにフリーズの連続である。「ウィンドウズアップデート」を何度もやる羽目になったが、「アップデート」をインストールして、仰せのとおり再起動をかけると、再起動の途中でまたフリーズするのには呆れた。

 とにかく、かつかつ動かしてから、友人のウイルス情報を覗くと、ベンダーの一部サイトにつながらなくしたり、マシンを勝手にシャットダウンさせる代物らしい。「ビル某よ、金儲けはやめて、ソフトを直しな」というメッセージがコードに隠されているらしい。ちゃんと回復させるにはプロでも3時間はかかったそうだ。やれやれである。本格的にウイルス退治をするには次のどれか、あるいは全部をやる必要があるだろう。視点子だと30時間以上かかりそうだ。

(1)信頼の置けそうな駆除ツールを再導入する
(2)Googleで駆除対策ソフトを検索する
(3)レジストリをいじくる
(4)ポートのフィルタリングをする

 ベンダーの更新ソフト対策は基本的に信用できない。一億行近い肥大ソフトの更新には必ず「リップルイフェクト(さざなみ効果)」があるに決まっているからだ。しかも、都合の悪い情報は隠して利用者に見せないのだから始末に終えない。

 どうも、工学上の3大事故、タコマ橋の自励振動による崩壊、コメット機の金属疲労による墜落、リバティ船の脆性破壊による沈没をはるかに超える理学上の損失を利用者に掛ける代物に成りあがった基本ソフトウェアとみなすほかないようだ。もうすでに、開発販売している当事者(ベンダー)自身が、なぜそうなったかを解析し、修理する能力を喪失したように見える。10年近くにわたって、版管理ごとに3000以上の不具合をひきずっている体たらくからみて、そう判断せざるを得ない。白紙からの、健全なパソコンソフトの再生が望まれるゆえんである。
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