視点

0.7世代

2004/05/24 16:41

週刊BCN 2004年05月24日vol.1040掲載

 なぜ「ディーガ」や「スゴ録」が売れて、PSXは売れないか。私は、「0.7世代」製品と、「1.5世代」製品の差と説明している。つまり「あまり先走り過ぎないで、しかも、適当に先進的なイメージをもつ」デジタル家電が今の売れ筋なのだ。ディーガなどは、まさに旧来のVHSの置き換えである。それは誰もがもっているVHSビデオという“国民材”に置き換わる、スマートかつ便利なディスク製品だとすぐにピンとくる。ところが、PSXは難しい。次世代に主流になるサーバーの先駆けということだが、そもそもサーバーについて一般大衆は知らないし、白いだけの姿ではこれは何をするものかよく分からない。

 世代論で言うと、PSXは「1.5世代」先を行っているために、一般には理解不可能だ。0.5世代ではあまり新しいというイメージではない。これまでのシステムに改良を加えたものという感じだ。かといって、1.5世代も先に行ってしまうと、今の生活にそれをアプライするという具体的なイメージが一般ユーザーはなかなか湧きにくい。そこで「消費者の0.7世代を先を行く」感覚こそが、実は今のデジタルAV製品のヒットの条件になっているのである。

 薄型テレビも同じストーリーだ。どの家にもあるテレビが、薄くなり、大画面になるなら素晴らしいことと、現状の延長で考えればすぐに閃く。そう思うのは、そういうニーズがすでにユーザーの心に潜在的にビルトインされているからである。だからニーズがいったん顕在化すると、「隣が買ったから、同僚が買ったから、友達が買ったから、ウチも欲しい、ウチも…」というデモンストレーション効果がどんどん加速していく。

 しかし、問題は0.7世代型だから、あまりつくるほうも難しくなく、同じようなものがどんどん出てきて、製品は限りなく平準化してしまうことだ。現にDVDレコーダーでは、どれも同じような機能になりつつあり、あとは値段の勝負になってしまう。デジタルものはすぐに追いつかれる。だから、0.7世代で潤っている内に、いかに次世代の製品を仕込むかが重要なのだ。PSXは確かに売れていないが、そのトレンドは決して間違ってはいない。PSX的内容を、0.7的にかみ砕けるメーカーこそが、次代の主導権を握る。
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