視点

Gメール

2004/05/31 16:41

週刊BCN 2004年05月31日vol.1041掲載

 米国で今、最も注目を浴びているネット企業と言えばグーグルだろう。日本でもおなじみの検索エンジン最大手の1つである。先月には新規株式公開(IPO)の計画を発表した。1株当たりの公募金額は明らかではないが、同社は、市場から調達する金額は27億ドル以上になるだろうと発表している。ネットバブルが崩壊して以来の最大級のIPOになることは間違いない。

 注目を集めている理由はもう1つある。3月末から約1000人のユーザーを対象にしてテストが行われている無料のウェブメール「Gメール」である。同種のサービスは、既にホットメールやヤフーメールがあるから珍しくもないが、Gメールはこれらのサービスとは少し違う。機能は基本的に同じなのだが、利用できる容量がやたらと大きい。ホットメールが2メガバイト、ヤフーメールが4メガバイトであるのにたいして、Gメールは1ギガバイトもあるのである。つまり、ホットメールの500倍である。

 私が日常に送受信しているメールは、添付書類を除くと平均して2、3キロバイトしかない。送受信するメールの総数が1日40通だとすると、なんと約30年分も蓄積できる。おまけにグーグルの検索技術を使って、簡単にメールを検索することができる。

 ただし、Gメールはグーグルによってスキャンされ、そのメールの内容と関連性が高い広告が付け加えられるのである。単に広告がつくだけなら問題はないが、メールをスキャンするのはプライバシーの侵害だという声があがっているのである。

 確かに、他人が友人や恋人に送ったメールを読めば、それはプライバシー侵害である。しかし、考えてみれば、メールをスキャンするのはプログラムである。すでにウイルス対策ソフトは私のメールをスキャンしている。また、暗号化されていない電子メールは、誰かがどこかで盗聴、傍受している可能性がある。本気で電子メールのプライバシーを守ろうとするなら、暗号化するしかないのである。

 Gメールを使って個人情報が漏れるリスクは、普通の電子メールの場合とそれほど変わらないのではないだろうか。ついでに言えば、そもそも自分が日常やり取りしているメールは、暗号化したいと思うほどの内容は含んでいない。そんなわけで、個人的には、Gメールは便利そうだから正式にサービスが始まったら使ってみたいと思っている。
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