視点

電話してから電話する

2004/09/06 16:41

週刊BCN 2004年09月06日vol.1054掲載

 ある日の夕刻、友人から電話があった。「これから電話するから、パソコンの電源入れておいてくれ」。これからかける電話とは、今はやりのIP電話SKYPEのことである。IP電話はもう珍しくはないが、SKYPEはパソコン同士のIP電話である。P2Pの技術から生まれたIP電話で欧米を中心に普及してきた。加入者は世界900万人とも1000万人ともいわれる。パソコン同士なら通話料金はただである。同じISPグループでなければ無料にならない日本のIP電話とは違う。最近では有料で、黒電話にも着信できるようになった。それにしても、国際電話などはIP電話より通話料ははるかに安い。

 かつてパソコン同士のIP電話もあった。ヘッドセットをつけて話すのはSKYPEも同じである。パソコンにソフトをダウンロードして会員登録をすればすぐに使える。この辺がパソコンに弱い人には抵抗感があるかもしれないが、一度セットしてしまえば、電話料金を気にせず長話ができる。バックボーンが発達し、アクセス回線もブロードバンドになり、IP電話の致命傷といわれた音声の遅延も気にならない。音声も電話並みにクリアに聞こえる。3者通話もできるから、電話井戸端会議に利用できる。長電話が好きなおば様族に向いている。いつかかってくるか分からない電話のために常にパソコンの電源をオンにしておくことが必要だが。

 同じ時期にteleBB1000というテレビ電話を入れてみた。家庭用テレビにセットトップボックスをつなぎ、ブロードバンド環境があれば使える。料金は加入料が1万円、月額料金が1800円あまりである。NTTが9月から始めるテレビ電話より格安である。パソコンはいっさい使わない。付属の電話から相手の番号を回すだけでつながるから老若男女だれでも使える。だが、こちらも相手がテレビ電話の電源をオンにしておく必要がある。それ以上に問題なのは、相手がテレビ電話に出られる状態にあるかどうか。ちらかした家の中を見られたら困るし、服装も不快感を与えない程度に整えなければならないからだ。テレビ電話をかけても「あと10分後にテレビ電話してください」ということになるのは必定だ。電話をかけてから○○電話する時代がやってきた。
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