視点

違法コピー率ゼロの先進国へ

2005/01/24 16:41

週刊BCN 2005年01月24日vol.1073掲載

 昨年末の12月24日、東京の新宿西口に、違法コピー品の路上販売を止めるよう警告を書いた看板を設置した。新宿警察署と新宿区、新宿防犯協会、そしてACCSの連名によるもので、黄色の目立つ地色に「違法な行為は逮捕する!」と記されている。西新宿一丁目に約20本設置したが、現在のところ露天の出店はなく、抑止効果がうかがえる。

 さて、ACCSが関わった刑事事件では、昨年11月、新宿東口でビジネスソフトの海賊版を路上販売していた人物が四谷署によって逮捕されている。また、昨今、ヤフーオークションを悪用した海賊版販売が目立って増えてきていることは繰り返し訴えているところである。

 このような実例を目にすると、日本は違法コピー天国かと思ってしまう。確かに、ACCSの活動を紹介するときには実際に起こった事件を紹介するし、昨年はファイル交換ソフト開発者の逮捕がきっかけとなり、インターネット上でコンテンツの無断送受信が大規模に行われている実態が広く知られるようにもなった。このため、違法コピー行為や海賊版が蔓延しているように感じるのだろう。

 しかし、世界各国のなかで見たとき、海賊版をはじめとする著作権違反は、必ずしも日本に限ったことではない。むしろ、今や日本は世界の中で優等生になりつつある。

 BSA(ビジネスソフトウェアアライアンス)が昨年発表した調査結果によると、調査対象となった86か国の中で、日本は同率6位にランクされている。もちろん、違法コピー率が少ない方から数えてである。ちなみに、日本の違法コピー率は29%で、イギリス、ベルギーと同率。ドイツやオーストラリアの違法コピー率を下回り、上位には、米国(22%)、ニュージーランド、デンマーク、オーストリア、スウェーデンだけである。逆に、海賊版が多いのは、中国、ベトナム(92%)、ウクライナ、インドネシアと続く。

 私がこの活動を始めた20年近く前、同種の調査で、日本は先進国のレベルからほど遠く悔しい思いをしたものだ。今年、ACCSは、中国・上海で本格的な活動を開始するが、中国政府は昨年末、知財について法解釈を変更し、制度上は刑事摘発が容易になった。あるいは知財保護のため版権局の調査などを見ていると、違法コピー率は日本と同様、早晩、先進国に追いつくだろう。
 
一般社団法人 コンピュータソフトウェア 著作権協会 専務理事 久保田 裕
久保田 裕(くぼた ゆたか)
 1956年生まれ。山口大学特命教授。文化審議会著作権分科会臨時委員、同分科会国際小委員会専門委員、特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会理事、(株)サーティファイ著作権検定委員会委員長、特定非営利活動法人ブロードバンドスクール協会情報モラル担当理事などを務める。主な著書に「情報モラル宣言」(ダイヤモンド社)、「人生を棒に振る スマホ・ネットトラブル」(共著、双葉社)がある。
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