大遊泳時代

<大遊泳時代>第58回 ベンチャー起業は老舗の社史研究から

2005/02/28 16:18

週刊BCN 2005年02月28日vol.1078掲載

松下電器産業 役員 前川洋一郎

 先日、大阪府寝屋川市で若手元気バリバリの市会議員・みやもと正一氏が「世界最古の会社を世界遺産に」と、金剛組の社史をもってこられた。

 「経済の好不況は避けられない」、「経営に上がり下りはつきもの」、「経営に人間が加わると生臭い」とのことだが、このようななかで、「老舗」の存在はベンチャー研究の原点として大切ではないか。

 聞けば、帝国データバンク調べで、18万社の中で100年以上存続するものは1万6000社。そして1000年超は4社という。そのうち2つは温泉、もう1つが京都の仏具店、なるほど…。ところで4つ目がなんと最古1400年前からの大阪の建設業「金剛組」である。

 彼曰く、ギネス申請中だが、こういった老舗が何故続いたか、何故つぶれなかったか、危ない時どうしたか──などの研究から、ベンチャー起業指導のノウハウ・マニュアルが生まれてくる──と張り切っておられた。

 やはり、社史・伝記の勉強から、その秘訣をよく会得できるし、経営理念の一端もうかがうことができる。

 松下電器産業「関西渉外室」では、お得意先から社史・伝記・資料を提供してもらい、写真の通り、「お得意様社史コーナー」をつくっている。ここでは収集、公開、そしてお客様の歴史を勉強するサービスをしている。

 各社の社史を見ると、まさに血と汗と涙と、そして吐息のドラマである。
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