未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>43.クレディスト

2005/09/12 20:43

週刊BCN 2005年09月12日vol.1104掲載

ライセンス管理を容易に

 クレディスト(稲葉實社長)は、CAD/CAMおよびCAEソフトを活用する製造業向けに、ソフトのライセンス管理ソフト「ILDエンタープライズシステム」を提供している。

 ライセンスを管理・把握することで、不要なライセンスを解約してコスト削減を図ることや、足りないライセンスはいくつかを見定めることがコンセプトだ。

 ライセンスを適正な数だけ購入しているかを把握できるのが「ILDエンタープライズシステム」の特徴だ。製品の発端は、高野和吉専務取締役がクレディスト入社前、あるITベンダーの情報システム部門に勤務していた時の悩みから生まれたという。

 各部門が独自の予算でソフトのライセンスを購入している場合、情報システム部門がライセンス数や利用期限を管理するだけでも手間がかかる。また、どの部門がどのソフトをどれだけ使っているかが把握できなければ、ソフトの予算を各部門へ的確に振り分けることも困難になる。

 問題は他にもある。ライセンスの“無駄使い”だ。例えば、あるソフトのライセンスがA部門では余っているのにB部門では足りないという場合、B部門が独自にライセンスを追加購入してしまうことがあり、「全社的にライセンスを管理していないために、無駄なライセンスコストがかかってしまうことが大きな悩みになる」(高野専務取締役)という。CAD/CAM、CAEソフトは他ジャンルより高価。わずか1ライセンスでも無駄な追加購入がもたらすコスト負担は大きい。クレディストは、ここに着目したわけだ。

 「ILDエンタープライズシステム」は、各パソコンに専用ソフトをインストールし、アプリケーションを起動すれば、専用ソフトがネットワークを通じてアプリケーションの使用状況を管理サーバーに伝える。管理サーバーは全ライセンスを管理し、必要に応じてパソコンユーザーにそのライセンスを貸与する仕組みだ。

 情報システム担当者は、「誰が・いつ・何分間」ソフトを利用したかが分かる。また、管理サーバー側でライセンスを状況に応じてコントロールできる機能も備えている。A部門で余っているライセンスをB部門に貸与することが可能になり、ライセンスの無駄遣いを防げるわけだ。

 どの業種にも利用価値があるソフトだが、営業担当者も少なく直販を重視していることから、当面はニーズの大きいCAD/CAM、CAEソフトを利用する大手製造業を引き続き攻める。将来は間接販売も始める計画で、市場に幅広くアプローチしていく。(木村剛士)
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