視点

テレビパソコンに見る垂直統合の実力

2006/06/12 16:41

週刊BCN 2006年06月12日vol.1141掲載

 テレビパソコンの画質は良くない─というのが、画質専門家の間では常識だ。家庭用のパソコンは、ほとんどがテレビ化しているが、その液晶モニターで観る映像は、ダイナミックレンジが狭く、黒が浮き、白が飛び、ノイズが多く、色も正確ではない。とても画質評価の俎上にはのぼれないものが、ほとんどだ。放送がデジタルになり、SD放送での画質はやや向上したが、基本的なことは変わっていない。

 なぜかというと、絵づくりの技術がないということに尽きる。液晶で良い映像を出すのは至難の業で、大手テレビメーカーもそれで大変苦労している。今、液晶テレビで高く評価されている製品は、「垂直統合」でつくられる。もともと液晶には画質の問題がもの凄く多い。画質改善は、手段が多ければ多いほど効果が上がる。デバイス側、セット側双方での問題追究が進むことでトータルで良い製品になるという理屈だ。デバイスと、画質エンジン、絵づくりの三位一体で求める画質を互いに協力しながら作り上げるというストーリーだ。

 最近、異様に画質の良いテレビパソコンに出会った。シャープの「インターネットAQUOS」だ。形態としてはパソコンと37型の液晶モニターの組み合わせだが、他のテレビパソコンとは雲泥の差だ。それもそのはず、37型モニターとは、まさにシャープの亀山産の37型液晶テレビ「AQUOS」なのだ。

 つまり、市販されている液晶テレビの外部入力にパソコン信号を入れるというものだ。地上デジタル放送も、パソコンの映像ではなく、テレビそのものなので、非常に高画質。ここでは「カメヤマ」の垂直統合によりデバイスの力、絵づくりの力の両者が相まって、この高画質を実現しているのである。

 逆に言うなら、他社のデバイスに頼り、絵づくりの技術力がないパソコンメーカーは、テレビメーカーのような高画質は獲得できない。すべてのものづくりを水平分業でやってきたパソコンメーカーに、垂直的に映像にこだわれといっても無理な話である。しかし、パソコンにも救いはないわけではない。Cellのような高性能なプロセッサーを活用し、ソフトウエア的に圧倒的な画質改善を目指すという道はある。単にテレビ機能を入れただけのパソコンは、要らない。

 せっかくパソコンという高性能な処理装置があるのだから、その力を活かした映像なら、私を納得させられるかもしれない。
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