国内中小企業のIT利活用を促進するとして注目を集めている「SaaS/ASP型」が、中小企業やITコーディネータ(ITC)の活動に「福音」をもたらすと期待している。

 ITCは日々、中小企業の立場で経営戦略を基にIT戦略を策定し、「RFP(提案依頼書)」を作成してITベンダーにシステム構築を依頼している。さらに、システム開発や導入プロセスを見守り、運用に移り、長い時間をかけて最終的にIT投資の費用対効果を評価する。「SaaS/ASP型」でシステムが導入できれば、開発期間を大幅に短縮でき、すぐに運用フェーズに入れるので、ITCの活動領域を拡大できる。

 国内のISVが開発するソフトには、国内中小企業の業種・業態・業務に適した多くの種類の製品が揃っている。中小企業の「競争力の源泉」にかかわる部分は個別開発するにしても、それ以外の部分を、これらのソフトから選択し、ASPによるサービスが受けられるようになったとしよう。これなら、割安でセキュアな環境を利用でき、従来は大企業だけが活用できた高度なソフトを中小企業でも容易に活用できるようになる。

 「SaaS/ASP型」の仕組みを普及させるには、中立的な立場でSaaSソフトを評価できる「第三者機関」を設けたり、それ以前に、アプリケーションのプラットフォームやAPIを広い視野に立って標準化することが必要になる。後者の具現化には、大きなハードルがある。しかし、「SaaS/ASP」を利用して、こうした「理想型」が実現すれば、ITCが作成した「RFP」に基づき、柔らかくシステムを導入し、中小企業が迅速にIT利活用することができる。

 ASPを提供するプロバイダがSaaSを採用してソフトを提供すれば、ITCが適正な価格を判断し、セキュアなソフトを購入することができ選択肢の幅も広がる。各種機関で中小企業を対象にIT投資に関する意識調査をすると、中小企業内にITを扱う人材が不足し、資金も潤沢でないため、「新規システムの導入に二の足を踏んでいる」と、判で押したような調査結果が出てくる。

 「SaaS/ASP型」システムならば、製品選定の際にソフトの特徴や特性、結果の良否をアウトプットやコンテンツベースでつかむことができる。より適した製品を、予想を超える費用発生なしに導入できることは、中小企業やITCにとってなによりの「福音」なのである。