次世代Key Projectの曙光

<次世代Key Projectの曙光>31.京セラコミュニケーションシステム(上)

2007/11/12 20:40

週刊BCN 2007年11月12日vol.1211掲載

GPS使った位置情報サービス

 京セラコミュニケーションシステム(KCCS、森田直行社長)は、2007年1月、位置情報サービスである「SAVE PLATFORM」を立ち上げた。

 KCCSはデータセンターを保有し、ホスティング、ハウジングなどのサービスを手がけているほか、MVNO(仮想移動体サービス)事業者として、ネットワークサービスの提供も行っている。まったく関連のなかった2つの事業を組み合わせて新しい事業として立ち上げるべく、KCCSの研究部が慶応大学とともに位置情報に関する共同研究を行い、開発したのがASPの位置情報サービス「SAVE PLATFORM」だ。

 「SAVE PLATFORM」は、独自に開発したGPS位置情報端末「イチしるべ」を活用したサービスで、位置情報システムは同社のデータセンター「D@TA Center」で運用・管理する。

 ビジネスモデルの企画を営業3人で行い、05年9月から事業化に向けて動き出したが、当時はまだ市場が立ち上がっておらず、「自治体や、運送会社などに飛び込みで調査して回った」(西日本ICT営業本部の森田正文・西日本プロダクト営業1部長)そうだ。06年3月に事業化され、GIS(地理情報システム)を手がける部隊とSEを加え、スタッフが20人に増えた後も、飛び込みの聞き込みは続けた。「およそ300社くらいは回ったのではないか」(森田氏)と振り返る。

 企画した段階では運行管理や配車管理でのニーズがあると踏んでいたが、直接足を運んで話を聞いたところ、「例えば、動物につけていいですかとか、海に流したいなど想定しない使い道に驚かされたこともあった」(プロジェクトリーダーの原良行・GPIS事業部GPISソリューション課長)という。

 聞き込みを続けて分かったことは、「ユーザーが位置情報を把握するメリットを感じていないため、市場は未成熟で、ユーザー自身が使い方に困っている」ということだった。

 GPS端末は、精度が高くなればなるほど、値段が跳ね上がり、ミリ精度のものになると数百万円になる。また、安いものでも4-5万円はするため、なかなか浸透しない実情があった。

 そこで、「とりあえず、価格を安価にし、1台からでも導入できるレンタルサービスを提供することにした」(森田氏)。

 サービスを提供するに当たり、同社が求めている機能の端末が存在しないため、一からハードウェアの開発に取り組み始めた。(鍋島蓉子●取材/文)
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