視点

ファイル共有ソフトの罪を問う

2008/04/21 16:41

週刊BCN 2008年04月21日vol.1232掲載

 警察庁の総合セキュリティ対策会議が平成19年度の報告書「Winny等ファイル共有ソフトを用いた著作権侵害とその対策について」を公表した。

 今やファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害による被害は甚大である。ACCSが昨年9月に実施した調査では、インターネットユーザーの約9.6%がファイル共有ソフトを使っていて、1人あたり1年間で平均481ファイルがダウンロードされている。もちろん一方で違法アップロードを行っているユーザーも多く、こうした被害に対してACCSは、捜査協力を行い、これまで12人の利用者が刑事摘発されている。また、刑事摘発が行われるごとに、ユーザーに対するコメントを発表するなど広報・啓発活動にも力を入れているが、ユーザー数は減るどころか、むしろ増加しているのが実状である。

 冒頭に紹介した総合セキュリティ対策会議の報告書は、こうした状況への対策として4つの方法を提言している。

 まず1つは、ユーザーへのメールによる注意喚起である。ACCSなど権利者側は、適切なツールを使ってファイル共有ソフトユーザーのIPアドレスを特定する。これをISPに通知し、ISPから注意喚起メールを送ってもらうという方法である。インターネットオークションでの海賊版販売についてであれば、すでにACCSは同様のスキームをヤフーと運用している実績がある。

 第2の対策は、権利者側の要請によりプロバイダがユーザーのアカウント停止措置をとるというもの。第3の対策は、ユーザーに対して権利者が損害賠償請求などの法的措置をとること。第4は、刑事告訴である。

 これらの措置を講じるためには、あらかじめ権利者とISPが法的・技術的な問題点を検討し、実施するための手法を決めておく必要がある。特に、損害賠償など法的措置を行うには、ISPから違法行為者(ユーザー)の氏名などの開示を受けなければならないが、現行のいわゆる「プロバイダ責任制限法」で対応可能かどうか、さらに検討しなければならない。報告書では、これらについて話し合うための協議会設置も提言されている。

 ファイル共有ソフト対策は待ったなしの状況にある。今回の提言を受け、ACCSはISPとともに対策を実施し結果を出していきたい。使命感を持って取り組む仕事である。ぜひ、ソフトウェア・コンテンツ業界の皆さんには、ACCS会員となって一緒に闘って欲しい。

 
一般社団法人 コンピュータソフトウェア 著作権協会 専務理事 久保田 裕
久保田 裕(くぼた ゆたか)
 1956年生まれ。山口大学特命教授。文化審議会著作権分科会臨時委員、同分科会国際小委員会専門委員、特定非営利活動法人全国視覚障害者情報提供施設協会理事、(株)サーティファイ著作権検定委員会委員長、特定非営利活動法人ブロードバンドスクール協会情報モラル担当理事などを務める。主な著書に「情報モラル宣言」(ダイヤモンド社)、「人生を棒に振る スマホ・ネットトラブル」(共著、双葉社)がある。
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