視点

人間の縁は、異なもの…

2008/04/28 16:41

週刊BCN 2008年04月28日vol.1233掲載

 今回から「視点」を書かせていただくことになりました。この10年ほどの間、金融機関の皆さんにITリスク管理や事業継続性の向上を働きかける仕事をしています。週刊BCNの読者に金融関係者は多くないだろうと思いますが、他流試合を楽しむ気持ちでITやリスク管理にまつわる所感を述べていきたいと考えています。もちろん、すべては私見であることを最初にお断りしておきます。

 いきなり私事に過ぎるかもしれませんが、BCNの奥田社長とは、一緒に金融ITの米国調査団に参加したことから縁が生まれました。その折にNY911テロをともに目の当たりにし、その強烈な体験を共有したことから、以後も交友を続けております。その頃はBCNについてよく存じあげず、われわれ調査団が搭乗するバスの中で、「日銀の壁を岩に見立ててロッククライミングしてもよいか」と尋ねられ、「正体不明なオジサンだな」というのが第一印象。今では懐かしい思い出です。

 この仕事をしていると、大規模プロジェクトの稼働開始やシステム障害後の収拾対応などで、緊張を強いられ、トイレに行く暇もないほどのケースも少なくありません。それでも、NY911との遭遇によって人生観が変わりました。各業界の方と一緒だったので、「いろんな人間がいるんだ」「自分は日銀では異色派であっても、世間常識では真面目なんだ(苦笑)」など、井の中の狭さを実感し、視野が広がった気がします。

 最近では「富永さんに会って、日銀のイメージが変わった」と言われることがますます増えており、(サラリーマンとしてそれでよいのかは大いに疑問ですが)何だか嬉しい気分になります。日銀マンの一般的なイメージは、何故か「神経質で世間知らずの超堅物」と見られている節が大有りですが、決してそんなことはありません。組織としての性格上、慎重な対応を示す機会が多いことは事実でしょうが、魅力的な人材がゴロゴロしていますので、ぜひお付き合いください。

 いきなり、ITとほとんど何の関係もないような自己(社)PRで紙幅を費やしてしまいました。次回からは、本領を発揮(?)して、ITリスク管理や事業継続など、何がしか皆さんの仕事や生活上の「考えるヒント」を提供できれば、と思っています。いつまで続くのか、はたまた不評によりすぐに降板劇が待っているのか、「人生、一寸先は闇」ですが、この機会にお見知りおきのほどをよろしくお願いします!
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