SOA(サービス指向アーキテクチャ)とSaaS──。IT業界では、古くからあった業界用語のように定着している。この言葉が国内に知れ渡り、その名を冠したソリューションが市場に登場し始めてから、SOAは約5年、SaaSは約3年が経過した。しかし、最近の業界動向を観察するに、この二つは、いまだビジネスとして実を結んでいないように見受ける。

 SOAに関しては、普及途上であることに痺れを切らした日本IBMとそのビジネスパートナーが国内に発展・浸透させるコミュニティーを設立。これに参加するSIerのうち、すでに実績を上げていそうなベンダーまでが「本当のSOAビジネスを立ち上げよう」と気勢をあげていた。6月上旬には、日本ユニシスと日本オラクルがSOAに基づくシステム構築サービスを共同推進する旨の合意がなされた。「BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)アプローチ」に関心が高まっていると判断し、両社の製品やノウハウを組み合わせて提供するというのだ。こうした動きを斜めから見れば、一部の先進的な企業を除き、これまでユーザーがSOAを必要としていなかったのでは、と勘ぐることができる。


 一方、SaaSでは5月下旬にテラスカイらのSaaSベンダーが、「SaaSを本当に“売れる”ソリューションにする」との命題で、コンソーシアムを発足した(6月1日号既報)。6月初めには、フィードパスらのSaaSベンダーが共同マーケティングを推進する団体を立ち上げている。


 SaaSを利用したシステム構築の「成功事例」はあまりに少なく、しかもベンダー間の交流が希薄だ。課題が解決されないまま店晒しになっていたといえる。


 セールスフォース・ドットコムやネットスイートの米国SaaS製品が国内市場を席巻し始めたのが約3年前。それから現在までに、SOABEX、ASPIC、一部SaaSを見越した研究をするMIJSなど、「SaaSとは何か、技術的な課題は?」と、過渡期を支えた団体はあった。フィードパスらの団体は、SOABEXメンバーによる組織だが、「SaaSを売る」ための論議が中途半端のままだったことが分かる。


 日本企業のシステムは欧米に比べてスクラッチ(手組み)開発の割合が高い。ベンダーはユーザーの言われるがままに追加開発し、それが企業の運用・保守費を増大させた。SOAとSaaSはこのコストを下げて最適化する仕組みだ。目先の収益にとらわれず、いまこそ長期目線で企業システムを提案する時期にきている。