IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手

<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>103.「IT経営力大賞」シリーズ かねひろ(下)

2009/08/24 16:40

週刊BCN 2009年08月24日vol.1297掲載

企画力の向上を目指す

 包装資材卸のかねひろは、全社的にシステムを連携させることに力を注いでいる。ASTコンサルティング代表取締役でITコーディネータの大澤昌氏にIT活用の経営に関するコーディネートを依頼し、かねひろの土田博美社長と幹部層、大澤氏で2009年6月に経営戦略を策定。来年2月の本格稼働を予定する。「できるだけ早く本格稼働させたい」(土田社長)。この考えに大澤ITCも、「(来年2月という)稼働時期は、あくまで予定。できるだけ早く本格的な稼働を実現させる」と決意する。

 単にシステム連携を行うだけで、事業を拡大できるかどうかは分からない。大澤ITCのアドバイスのもと、かねひろでは営業面を改革しようとしている。土田社長は、「提案営業を徹底して実行する」と方針を語る。提案営業には、前提として既存顧客を十分に把握する必要があり、これまで獲得した顧客データの分析が欠かせない。また、顧客ニーズを捉えて新しいオリジナル商材を創造していくには、営業担当者のデスクワークを軽減する手も打つ必要がある。

 もともと、かねひろはデザインを重視した包装資材を提供する卸業者として注目を集めている。営業担当者が顧客企業の声を反映し、オリジナル商材を開発してもらうためにメーカーと密接に打ち合わせをしている活動が成果となって現れているのだ。物流面では、自社店舗の「パッケージプラザ」と大手メーカーとのアライアンスにより、全国配送の体制を構築。さらに、販売面ではウェブサイトの「パックウェブ.ビズ」で全国網で顧客を獲得した。ウェブサイトは自社で運営しており、新規顧客を開拓できるようにデザインや商材に工夫を凝らしている。「営業」「店舗」「ウェブ」の三本柱が整備された現在、「すべての顧客データを一貫して管理することが事業拡大のポイントになる」(土田社長)と構想している。このような考えから、全社的にシステム連携を図っているのだ。

 全社的なシステム連携の投資額としては、1000万~2000万円を予定している。大澤ITCのコーディネートにより、複数の地元企業に発注することで投資額を低く抑えた。売上高については、昨年に10億円規模だった売上高を5年後に15億円規模まで引き上げる。大澤氏は、「本格稼働から1年後には必ず結果が出る」と自信をみせる。土田社長は、「大澤さんを通じて、経営革新を図るためにITで何を行えばいいのかアドバイスしてもらっている」と強調する。システム連携による事業拡大に期待がかかる。

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