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<活躍する「企業内ITC」の素顔>NECネクサソリューションズ(下) ITC増強は一段落、ノウハウ定着へ

2010/07/08 20:29

週刊BCN 2010年07月05日vol.1340掲載

 NECネクサソリューションズ(NECネクサ、森川年一社長)がITコーディネータ(ITC)資格保有者の増強に着手したのは、2007年度だった。本格的に取り組み始めたきっかけは、渕上岩雄社長(当時)に寄せられたユーザーからの厳しい声。元NECソフト社長で、ITコーディネータ協会の関隆明会長からITC資格の取得を勧められたことも渕上社長を突き動かす要因となった。

 社内ITC増強に向けて、「ITCチャレンジプログラム」「ITC活用プログラム」「ITC-SIG(Special Interest Group)」という三つのプログラムを用意したが、これは渕上社長が主導したからこそ実現したもの。持田敏之・コンサルティング部長は、「渕上社長の就任以前には、そんなプログラムは組めなかった。必要ない、と反対されたはず」と、舞台裏を明かす。

 現在、NECネクサの社内ITC増強計画は一段落している。現在抱える154人の社内ITCを、適正人員と捉えているからだ。2010年度から資格取得に向けた全社的な支援はなくなり、「部門の判断に任せる」(持田部長)方針に転換した。今は三つのプログラムのうち、「ITC-SIG」だけが残る。

 とはいえ、社内ITC増強計画の効果が芽を出すにはまだ時間がかかる、というのが持田部長の実感。「活動成果が花開くまでには、5年から10年かかる」という。社内ITCを軸に据えて、ユーザー事例を地道に増やし、草の根で活動を広めていく考えだ。

 ITC活用プログラムでは、資格保有者が中心となり、組織横断的に提案レポートや営業スタイルの変革などに着手していた。これらが終了してからも、ユーザーに対する提案レポートの作成は継続している。プログラムの運用自体は、社内ITCの自発的な活動として任されているわけである。レビューチームも組織していないが、これは「すでに現場にノウハウが伝わっている」(持田部長)と認識しているから。活動の軸足は、社内ITCのノウハウや経験を定着させていくことに移っている。

 ITCの資格は、取得するだけでは意味がない。ITC資格者が集う外部サークルの会合に顔を出したり、自己研鑽したりしないと、能力は磨かれない。現場でもユーザー目線で、「経験がきちんと肚に落ちていて、本当にユーザーのために何ができるのかを考えられなければならない」(持田部長)。ITC資格を活用するには、経験と年月を重ねることが必要なのだ。

 今後は、ITC資格の効果測定チームの結成なども検討対象となる。ただし、人材育成の効果を数値的に導き出すのは容易ではない。「ITC効果があるかどうかなどITCが自分で考えろ、といいたい」とは、持田部長の持論である。
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