渡邉智保・東日本本部ビジネス推進統括部ソリューション技術部担当課長もITC資格取得者の一人。東日本地域のビジネスを担当し、地方の事情にも詳しい
 富士通グループのなかで、情報システムのインフラ系システム構築と運用・保守サービスを得意にする富士通エフサスには、42人のITコーディネータ(ITC)資格取得者がいる。ITCは、当時の自民党政権が立ち上げた「e-Japan」構想の一環として生まれた経緯がある。ITC制度は、経営とITの両面の知識・スキルをもつ人材が必要との考えから、2001年に生まれた。これまで約7000人のITCが育っている。

 富士通エフサスは、その“鳴り物入り”で誕生した資格に早々と眼をつけた。03~04年に「推奨資格」に指定して、資格を取るための費用を会社が負担する優遇措置を取った。同社はもともと保守サービスに強く、全国に営業・サービス拠点を設置し、カスタマーエンジニア(CE)や技術者を配置している。その全国に点在する各拠点のマネージャーに対して推奨資格であることを告知し、技術者を中心に資格取得を促した。

 早乙女佳友・サービスビジネス本部サービス事業基盤推進室長は、ITCに着眼した理由をこう説明している。「技術系の資格は数多くあるが、『経営』と『IT』の両方を学べる資格はそれまでなかっただけに、魅力的だった」。理由はそれだけではなかった。「『e-Japan構想』の一環として始まった資格制度だけに、官公庁系の情報システムなど、政府系の調達案件受注の条件にITC資格を取得していることが入ったり、案件獲得に優位に働いたりすることがあるとも考えた」という。

 取得支援を開始してから、「最近は、取得者の増加が鈍化傾向にある」(早乙女室長)が、それでも毎年約5人のITCが誕生。ITベンダーのなかでもその数は多い。主に技術系スタッフが取得している。渡邉智保・東日本本部ビジネス推進統括部ソリューション技術部担当課長もその一人だ。

 渡邉担当課長は、資格取得のメリットについて、「富士通エフサスは、もともとは保守サービス会社だったが、今は運用サービスや、その上流のインフラ系SIも手がけている。そうしたインフラ系SI案件の獲得に、効果を発揮している。中堅規模以下のユーザー企業のIT投資は、経営者からのトップダウンで決まることが多い。経営者にITソリューションを提案するとき、経営の側面からITを提案できるスキルをもつITCがいることはプラスになっている」と説明する。

 とくに、首都圏以外の地域で効果を発揮しているという。富士通エフサスの顧客ターゲットは、東京・大阪・名古屋などの主要商圏では、比較的大規模な企業・団体が多い。ただ、地方にいけば大企業・団体は少なくなる。トップダウンで決める企業が多く、結果的にITC資格をもつ人材が生きるというわけだ。

 そのなかに、地方において、ITCを取得していたことが効果を発揮した事例がある。それは渡邉担当課長が担当した案件で、「極めてまれな」(渡邉担当課長)独立系ITCとのコラボレーションプロジェクトだった。(つづく)