日本IBMは、2009年に世界で掲げた新ビジョン「Smarter Planet」の実現に向け、業種(インダストリー)特化型のソフトウェア戦略を本格的に開始する。国内の有力独立系ソフトベンダー(ISV)やIBM製品販売とシステム開発を行うビジネス・パートナー(BP)などと、いままで以上に連携を強化。IBMが世界で提供する業種特化型の製品ソリューション(インダストリー・ソリューション)とその基盤となるフレームワークに国内ISVのアプリケーションなどを連携させ、低コストで短納期に販売・流通できる「ISVエコシステム」「パートナーエコシステム」体制を築く。日本IBMは2011年度(11年12月期)中に国内ISV20社の製品と連携し、製造業や電力・ガス、自治体、通信、医療などに関連したソリューションを揃える計画だ。

第1回

 日本IBMのISV向け支援策は、IBM製品の販売とソリューション開発をサポートする「PatnerWorld」、そのなかでISVを対象とした支援プログラム「PatnerWorld Industry Networks(PWIN)」で展開してきた。2010年度からは10年1月に掲げた「日本IBMパートナー・ビジネスの骨太方針」に基づき、プログラムを拡充しつつ、クラウドコンピューティング時代に備えたISVやBPとの新たな協業体制づくりを進めてきた。

 具体的には、重点施策の一つとして「パートナーとのSmarter Planet推進」を掲げ、新ビジョンで謳われているクラウドを生かした「サービス向上」「コストの削減」「リスクの管理」の三つの課題に取り組む「Dynamic Infrastructure(DI)」の具現化を目指し、ISVやBPがクラウドを利用した新たな提供形態で新ビジネスを創造できる支援体制を構築してきた。

 そして、2011年度、上記に示した業界が直面している経営課題に対し、システム構築に要する時間を短縮しながら、リスクを低減させる「インダストリー・ソリューション」を、国内ISVなどとの協業によって、本格展開する。ISV事業を統括する佐内桐梧・ソフトウェア事業ISV&デベロッパー事業推進部長は「今般、IBMではインダストリー・ソリューションの基盤となる業種別フレームワークを整備してきた。この上にISVのアプリケーションを乗せ、業種別のソリューション・ポートフォリオを拡充していく」と、これまで以上にIBM基盤と組み合わせたISV製品が革新的で付加価値の高いシステムを生み出すと強調する。

 例えば、製造業向けフレームワーク「PSF (Product and Service Framework)」は、商品企画や設計、製造、出荷、販促、販売、アフターサービスなどビジネスのライフサイクル全般をカバーするよう定義され、幅広い要件に対応できる。佐内部長が「より効率的でコスト効果の高い方法で、システムの設計・開発・導入が可能で、ISVとシステム構築を行うシステム・インテグレータなど、パートナー同士の関係が深まり、ビジネス機会の拡大が期待できる」と説明するように、業種別フレームワークをパートナーと連携して販売する広域事業組織や直販組織で活用し、IT市場全体の活性化を狙っている。

ソフトウェア事業ISV&デベロッパー事業推進部長 佐内桐梧 氏

 日本IBMは1月26日、東京・六本木の六本木アカデミーヒルズ(六本木ヒルズ森タワー40階)で、「Partner Ecosystem for IBM Smarter Planet 2011」と題して、ISVやビジネス・パートナー(BP)を対象にしたイベントを開催する。同イベントでは、業種別のフレームワークの紹介など、ISVとBPとで築くエコシステムなどについて説明する。