視点

「スマートホーム」はすぐそこまで来ている

2011/02/24 16:41

週刊BCN 2011年02月21日vol.1371掲載

 最近、いろいろな「スマート×××」が、IT分野・環境エネルギー分野で注目されている。環境エネルギー分野では、最も小規模で最も身近となるのが、「スマートハウス」だろう。「スマートハウス」とは、電力の活用状況などをIT・ネットワークを活用して監視・制御することで、省エネを促進することができる住宅のことを指す。そして、「電池」を設置して将来的にエネルギーの自給自足を目指す住宅である。

 この場合の「電池」とは、「太陽電池」と「2次電池(蓄電池)」のことで、ともに「スマートハウス」を構成する重要な役割を果たす。量産効果によって電池の生産が2倍になれば、20%のコストダウンとなる。そうなると、現在の太陽電池による発電コスト約46円/kWhは、2020年には14円/kWhまで下がり、補助金やFIT(固定価格買い取り制度)が終了したとしても十分に設置メリットが出てくる。2008年7月に閣議決定された「低炭素社会づくり行動計画」では、太陽電池の導入量を2020年に10倍(後に20倍に変更)、2030年に40倍とすることが示されていることから、2020年には約1000万世帯の住宅に設置される計画となる。

 「スマートハウス」を目指し、わが家も5kWの太陽電池を設置した。これで、年間電力消費量の約80%をカバーしてくれる。したがって、20%を省エネすれば、電力は自給自足することができる。しかし、「太陽電池」には大きな弱点がある。それは、不安定な電力供給源であることだ。昼間のみの発電で、太陽が出ている間は必要以上に発電し、曇りや雨の日は発電量が低下してしまう。

 その弱点を補うのに将来的には「住宅用蓄電池」を設置して安定的な電力供給ができるようにするわけである。そして、そのような「スマートハウス」においては、電力を監視・制御するためにHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)が大きな役割を果たす。HEMSで電力供給源を自動制御し、効率的に自然エネルギーを活用したり、電力の消費をいつでもどこでもさまざまなデバイスから確認・制御することができるようになる。すると、どの電化製品がどのくらい電力を消費しているのか、どの時間帯で消費電力が多くなるのかといったことがみえてきて、具体的な省エネ対策を行うことができるようになる。

 このように「スマートハウス」はライフスタイルに変化をもたらし、環境・エネルギーに対する新たな意識と価値観を創造していくと考えている。
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