IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>52.名光精機(上) カイゼンの力を強みに

2011/11/10 16:04

週刊BCN 2011年11月07日vol.1406掲載

 愛知県津島市の名光精機(松原光作社長)は、自動車用部品を製造している新興企業だ。主力とするオートマチックトランスミッションに搭載する部品のスリーブは月間130万個、コアは90万個を生産している。

 2002年の創業以来、ほぼ右肩上がりの成長を続けてきた。08年度から09年度にかけては、リーマン・ショックに端を発する経済不況の影響を受け、やや売り上げが落ち込んだ。だが、10年度には持ち直しており、新工場を設立するなど、積極的に投資している。

 国内向けには、本田技研工業以外の自動車メーカーほぼすべてに部品を供給している。海外向けには、ポルシェやプジョー・シトロエン、フォルクスワーゲンなどの大手自動車メーカーを供給先としている。

 松原社長は、「新しい製品開発に取り組んでいる先行性と超精密加工ができる生産技術力を売りにしている。今後もこうした点をさらに伸ばしていきたいと考えている」と語る。

 同社の強みは、カイゼンの力にある。創業以来、名光精機の好業績を裏から支えてきたのが「Microsoft Excel」を駆使した「見える化」だった。「製品そのものは1個100円から200円、電気代や廃油代などは何銭という数字だ。製品1個あたりのこうした数字を把握することで、カイゼンが進んでいるのか、そうでないのかをみている」(松原社長)。

 「Excel」ベースで管理している20~30に上る指標を活用し、カイゼンに取り組んでいる。和澤功ITコーディネータ(ITC)は、「ここまでモニタリングしている中小製造業は少ない」と驚く。

 電気代や廃油代、工具費などの副資材コストに着目したのは、リーマン・ショック後のことだった。ムリ・ムラ・ムダの削減の必要性が高まったためだ。このほか不良率と生産性の二つの指標を、副資材コスト以上に重要視している。

 こうした指標のデータは、年初に立てた各部署の目標である「アクションプラン」の達成度と比較し、毎月フォローアップしている。(つづく)(信澤健太)

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