IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>56.アセットインベントリー(上) 作業員の技術力を伸ばす

2011/12/08 16:04

週刊BCN 2011年12月05日vol.1410掲載

 千葉県柏市に本社を置くアセットインベントリー(洞定治社長)は、全国に20か所以上の営業所を構え、ゼネラルマーチャンダイズストアや百貨店、大型書店などの店舗の棚卸代行事業を手がけている。専用のハンディターミナルを利用し、売価と数量でカウントする金額棚卸のほか、バーコードスキャニングによる単品棚卸などに対応している。

 棚卸作業の情報を集約するイントラネットシステムを自社で構築し、売り上げと作業効率の向上に役立てるだけでなく、従業員の技能継承に活用している。

 洞社長は、「ユーザー企業のリピート率が非常に重要だ。これが80%以上であれば、企業として成長できる。当社は、システム導入後に82.9%のリピート率を達成できた」と語る。1時間あたりの生産性は、3~6%向上したという。

 イントラネットシステムは、ハンディターミナルからインポートした店舗別の活動状況を、事細かに把握できるようになっている。特定の店舗の生産性が低ければ、現場の責任者はただちに改善策を検討する。

 ユーザー企業から寄せられたクレームや回収したアンケートの情報もアップしており、作業員がこうした情報を共有することで、顧客満足度の向上にも一役買っている。このほか、同じ店舗の前回の作業データを参照することが可能となっている。

 こうしたイントラネットシステムの導入メリットは、本社から作業員に対する情報伝達の手段を統一したことによるものだ。従来は、1万6000を数える店舗向けに「Microsoft Excel」ファイルを作成していたため、手入力による間違いが発生していた。時間も手間もかかっていたのだ。また、クライアント別の行動基準をメールや紙の資料で周知するという煩雑さがあった。

 ITコーディネータ(ITC)の坂野直人氏は、2009年から2010年にかけて、同社のIT化支援に携わった。「すでに、しっかりとしたイントラネットシステムが構築されていた。これだけIT化が進んでいる中小企業はそうはない」。業務に対する課題意識を明確にもち、社内改革を推し進めてきたことが成功に結びついたのである。(つづく)(信澤健太)

アセットインベントリーが運営する棚卸代行専門サイト
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