広瀬製作所(広瀬安行代表取締役)は、京都市で精密板金加工業を営んでいる。プレス加工を手がけた経験を生かして、大手メーカーから試作依頼を受けた際に、簡易金型を自社でつくることができる。他社のように、専門の金型業者に試作品金型を発注する必要がないので、他社よりも短納期・安価で試作品の制作に対応できることを大きな強みとしている。
量産品は持続的に受注があり、受注件数は多いときで1日200件以上に上る。産業機器向けに供給しているという。
坂田岳史ITコーディネータ(ITC)のアドバイスを受けながら、クラウド型生産管理システムの導入や業務フローの改善などに成功した。リードタイムの短縮をはじめ、経営管理の効率化などに大きな成果を上げている。
ここ数年、広瀬製作所が置かれた経営環境は大きく変わってきた。得意先である大手メーカーでは、製品ライフサイクルの短縮化を受けて、新製品の開発スピードが上がっている。広瀬製作所には、研究開発部門から短納期の要請が強く出されるようになった。
短納期と同時に、より高度な加工技術による試作品の依頼が急増。板金部品は複雑な形状のものを高品質で要求されるため、それに応える試行錯誤の作業時間を十分に確保する必要性が高まっていた。
景気に直結する需要の低迷も無視できなかった。下請けの製造業にとって、景気動向は量産品の受注量を左右する。リーマン・ショック後は受注量が減少し、既存の得意先からの継続的な受注や新規顧客の獲得が経営課題だった。
こうしたなかで、どのように社内改革を推進すべきか。社内には、情報システム担当者がおらず、IT化の方向性を示すことができなかった。2010年の暮れに、坂田ITCが同社の抱える課題の洗い出しにかかった。「受注から現場での加工作業までの事務処理で時間のロスが発生していた。間接業務を減らし、加工作業の時間を充実させる方法を検討した」(坂田ITC)。
同社では、試作品のほかに量産品にも対応しているため、受注案件が多い。受注から出荷までの生産計画作成や現場の指揮、出荷業務に多くの時間を費やしていた。(つづく)(信澤健太)

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