IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>64.NTB製作所(上) 業務の精度を向上

2012/02/09 16:04

週刊BCN 2012年02月06日vol.1418掲載

 薄板の加工を得意とする京都府宇治市のNTB製作所(西村敏明代表取締役)。医療機器や大型・小型のディスプレイ用ケースなどの板金加工を手がけている。EDIシステムや写真データベースシステムを活用し、リードタイム短縮などの大きな成果を上げた。

 同社は、一つの案件で最大400点ほどの板金加工を受注する。しかも、一軒の得意先からの1回あたりの受注点数が多いうえに、新規品だけでなくリピート品も多い。

 これまでは受注後に余分な手間がかかっていた。専門知識に乏しい事務職の従業員が、作業指示書に適合した図面を探し出すのに時間がかかっていたからだ。間違いも多かった。在庫があるリピート品は品番で探すが、似たような品番と間違えることもあった。

 このほか、受注した品が適切に作られているのか、すべて出荷できるのかを確認するのに手間と時間をかけていた。こうした課題を抱えていたため、注文を受けてから出荷するまでに最大4日から5日を要していたという。業務精度の向上が喫緊の課題であった。

 同社を改革に突き動かしたのは、得意先からの要請でもあった。受注の60%を占める大口得意先は量産品が中心だったが、2005年ごろから一品ものに移行。発注が多品種少量になってきたことを受けて、多品種少量に対応する体制づくりが求められたのだ。

 同社は、従業員が10人程度で、社内に専属の情報システム担当者はおらず、西村代表取締役も「ITのことはよくわからない」という状況であった。そこで、坂田岳史ITコーディネータ(ITC)の支援を受けながら、業務精度と業務スピードの向上に取り組むことを決めた。

 重点的に取り組んだのが、納期の短縮だった。CAD(コンピュータ支援設計)やNC(数値制御)工作機を使用する板金加工作業の時間短縮よりも、作業を始める前段階の効率化が大きなポイントだったという。受注した情報をパソコンに入力し、作業指示書と図面を揃えるという作業のことである。400点の受注情報を、納期順に並び替えて、優先度が高い品から現場にすばやく効率的に指示できるシステムの導入に着手した。(つづく)(信澤健太)

左の項目はEDI受信データで印字し、右の写真は写真DBから印字する
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