IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>91.東京商工会議所(下) ウェブ+直接訪問で相談に乗る

2012/08/30 20:29

週刊BCN 2012年08月27日vol.1445掲載

 東京商工会議所はこの4月に、ウェブ上で中小企業のホームページ活用を支援する「ホームページ戦略活用相談室」を開設した。その背景には、中小企業の多くは自社のホームページを運営しているものの、サイトを積極的に活用しようとしていないという実態がある。

 東京商工会議所が2012年3月に公開した「通信環境を活用した生産性向上策に関する実態調査」の報告書によると、トップページへのアクセス数の解析をはじめ、さまざまな手法によって、ホームページの効果を測定する中小企業が多いことがわかった。しかし、せっかく効果測定を実施しているにもかかわらず、「効果測定の結果をホームページに反映させているか」の質問に対して、「リニューアルするときの参考にしている」(45.3%)や、「とくに反映させていない」(39.1%)とする回答が多数を占め、効果測定を実際にホームページの見直しにつなげていない実態が浮き彫りになった(図参照)。


 東京商工会議所は、こうした状況を踏まえ、ITコーディネータ(ITC)の力が必要と判断して、「ホームページ戦略活用相談室」というかたちで、相談室の幹事を務める小林邦人氏をはじめ、ウェブ活用に精通する17人のITCが中小企業のホームページ活用を支援する仕組みをつくった。

 地域振興部の副部長でIT化支援担当課長の橋本一朗氏は、「夏以降は、ウェブ上での相談に加えて、ITCの直接訪問による相談も開始する」という。具体的には、「現時点で、企業ごとに3回の訪問を考えている。まず、チェックシートで企業の課題を診断し、実態を把握したうえで改善策を提案し、効果をみる」(橋本副部長)という活動になる予定だ。

 ホームページ活用の相談は、中小企業の受注を向上させることを主な目的としている。橋本副部長は、「受注が増えれば、それに対応するために販売管理や在庫管理の強化が課題になる。これこそ、ITCの腕の見せどころだ。相談室の開設を第一ステップとして、ホームページ活用で受注を増加させたうえで、将来はITC支援の重点を販売管理システムや在庫管理システムの改善に置き、広い範囲でITCの活動を活性化していきたい」と、取り組みの展望を語った。(ゼンフ ミシャ)
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